「途中泣きそうになったんですけど、泣いたらダメだなと思って。今まで4年間、天皇杯に出場させていただいて、今日が1番いい試合だったと思います」
そう試合を振り返ったのは福岡第一高校(福岡県)の井手口孝コーチ。
11月30日に行われた「第95回天皇杯・第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」の2次ラウンドで、福岡第一は4連覇を目指す千葉ジェッツに挑んだ。結果は最終スコア73-109と大差で敗れたものの、随所に持ち味のディフェンス力と速攻で千葉を苦しめる場面もあった。
司令塔の河村勇輝(3年)は、この試合では計36本のシュートを放ち、計21得点10アシスト6スティールとプロ相手にも堂々としたプレーを見せた。指揮官もこの活躍には「90点。最初から気合が入っていましたね」と絶賛。
河村、小川麻斗、クベマジョセフ・スティーブの陰に隠れがちだが、走り出しの速さや献身的な働きでチームに大きく貢献した内尾総理(いずれも3年)も忘れてはならない。「最初、内尾が気後れしたんですけど、1回怒ったらよくやってくれました(笑)。リバウンドシュートとか1番いいところが出ましたね」と自軍最多の26得点を挙げた内尾を称えた。
内尾自身は「めちゃくちゃ怒られましたね」と、井手口コーチの激については苦笑い。
「試合前から自分のシュートを打てと言われていたんですけど、相手が大きくて最初は消極的になってしまいました。だけど、なかなかこんな経験はできることじゃないので、『ミスをしても取り返そう』という気持ちでディフェンスとルーズボールをがんばったら得点につながったのでよかったです」
この試合で大会を去ることとなった福岡第一。次なる目標は、連覇をかけた「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」で優勝することだ。連覇に向け、指揮官は「2連覇というよりかは、河村が言っているように負けないで終われればなと思います」とコメントした。
井手口コーチは「なかなかこういう選手たちとこういう場で試合することがないので、高校生なので経験は財産」と試合を総括。この試合で見つかった新たな課題を「3番、4番ポジションのリバウンド。他の選手のボックスアウトが弱かった」と話し、「そこは強化しないといけないです」と気持ちを新たにした。