テリフィック12は3日目を迎え、予選リーグの最終戦が行われた。第1試合には名古屋ダイヤモンドドルフィンズが登場。浙江ライオンズとの一戦は互いに勝てば準決勝進出が決まるだけに、試合開始からともに気持ちの入ったプレーで観客を魅了した。名古屋Dのスタート5は小林遥太、マーキース・カミングス、安藤周人、クレイグ・ブラッキンに加え、初戦の中東泰斗に代えてこの試合では満田丈太郎が先発を務めた。
ティップオフ直後、名古屋Dは積極的にドライブを仕掛ける。カミングスのバスケットカウントや安藤の3ポイントなどでまず8-2とリードを奪った。ディフェンスでは相手のピック&ロールに対してきっちりとマークのローテーションを行い、ペースをつかんだかに見えた。しかし、高さの面でアドバンテージを握る浙江も黙ってはいない。ゴール下のオフェンスリバウンドなどでじりじりと点差を縮め、第1クォーターは22-21と名古屋Dリードで終了した。
第2クォーターに入っても、名古屋Dはカミングス、ブラッキンの両外国籍選手を軸に試合を進めていく。ただし、困った時の1対1頼みの戦術ではない。小林、笠井康平の両PGがしっかりとパスを回し、その中でチャンスをクリエイトした。さらに中務、笠井がタフショットを決める場面もあり、前半を45-41と4点リードで折り返す。
試合後の記者会見で梶山信吾ヘッドコーチが「まず自分たちがやりたいことをやり切ることができた」と語ったが、第3クォーターになっても名古屋Dは攻防両面で足を動かし、アップテンポのバスケを徹底。確かに速いパス回しの中でフリーになる選手が生まれるも、そこから決めきれない場面もあったが、名古屋Dはペースを落とさなかった。このクォーターも21-15としてリードを広げて、最終クォーターを迎える。
浙江は第3クォーターで見せた2-3のゾーンからマンツーマンにディフェンスを戻し、最後の反撃を試みる。名古屋Dは約4分間、得点が止まる場面もあったが、残り時間を2分切った場面で安藤がバスカンを決めて、続くボーナススローも沈めて3点プレーを見せる。さらに中東泰斗の速攻が決めて再びリードを2桁に戻すと、浙江にそれをひっくり返す力は残っていなかった。
準決勝進出をかけた戦いは名古屋Dが78-71で勝利し、琉球ゴールデンキングスへの挑戦権を獲得した。
記者会見の開口一番、梶山HCは「選手はよくやってくれた」と手放しで喜んだ。ただし、「リバウンドやディフェンスの部分では課題があったのは事実。それを明日1日で修正して、準決勝の臨みたい」と前を向いた。さらに「琉球さんのようなタフなディフェンスのチームとは今大会では戦っていないが、それも今シーズンに向けて良い経験になる。主力3人(張本天傑、笹山貴哉、ジャスティン・バーレル)がいない中、新加入選手がチームになじんできた」と言及しただけに、琉球との準決勝が楽しみになってきた。
文=入江美紀雄