12月8日に行われたB1リーグ第10節第2戦で、川崎ブレイブサンダースは琉球ゴールデンキングスに98-75で勝利。このカードで2連勝を飾り、今シーズンの成績を15勝3敗、リーグ全体1位の勝率をキープした。川崎は平均失点がB1で3番目に少ない(12月6日時点)琉球に対し、高いシュート成功率で2試合連続90得点以上を奪い、その攻撃力を見せつけた。
大塚裕土は第1戦では9得点、第2戦では8得点と、この週末で2ケタ得点を挙げることはできなかったが、要所で得意の3ポイントシュートを沈めて琉球の反撃ムードを削ぎ、川崎の連勝に貢献した。今季から川崎に加入した大塚だが、ポジションが重なる辻直人がケガから復帰したこともあり、現在はベンチからの出場がメインとなっている。
シーズンとおしてスタ―ティングメンバーに名を連ねた富山グラウジーズ時代に比べ、今季の平均出場時間は約16分間と限られた出場機会になっているが、「最初は自分のリズムがつかみずらかったが、徐々に慣れてきた。今では短い時間でも集中して効率のいいパフォーマンスが出せるようになっている」と語る。「ディフェンスで結果を出せないとコートに立てないのが今シーズンの川崎というチーム。他の選手もシュートを決められるので、ディフェンスからしっかり貢献して、要所要所で自分の(攻撃に関する)長所を発揮できれば」と、チーム全体が味方を活かす高い意識を持っていることが、高い得点力とリーグ屈指のディフェンスにつながっていることをうかがわせた。
川崎はこの2日間、ベンチスコアでいずれも43得点をマーク。特に第2戦では得点源のニック・ファジーカスが9得点に抑えられながらも、今季最多の98得点を積み上げた。大塚をはじめ、藤井祐眞や熊谷尚也など、川崎の好調を支える存在となっているセカンドユニットだが、佐藤賢次ヘッドコーチは「常に『誰がレギュラーかは決まっていない。コートに立ったときには常にフルスロットルでプレーして欲しい』と伝えている」と語り、大塚も「練習から強度が非常に高い。試合と変わらないプレーでトレーニングできている」と同調する。ハイレベルな競争とタイムシェアが、「誰が出ても変わらないハイエナジーが発揮できる」(佐藤HC)川崎の選手層の厚さを体現しているのだろう。
大塚といえば「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2020 IN HOKKAIDO」の“最後の1枠”を決めるSNS投票で見事1位を獲得し、3年連続3回目のオールスター出場が決定した。「チームメートの後押しがあったり、多くのファンの方々が投票してくれて、選ばれたことに本当に感謝しています」と改めて感謝の念を述べた。
北海道名寄市出身の大塚は「帰省したときなど、バスケをとおして地域活動をしているが、年々参加者も増えているし、盛りあがりを感じている。今季のプレシーズンマッチ(9月7日、8日に行われたレバンガ北海道戦)にも遠くから観にきてくれたり、(名寄)市を挙げて応援してくれているので、地元の皆さんにB.WHITEの一員としてコートに立つ姿を見せることができるのは素直に嬉しい」と、“地元凱旋”となるオールスター出場に対する喜びを語った。
今シーズンのオールスターゲームは来年1月18日に北海きたえーるで行われる。昨季のMVPは、地元で行われる“夢の舞台”でどんなプレーを見せてくれるだろうか。
文=山口晋平