滋賀レイクスターズがブースターに向けて異例のメッセージを発信

滋賀レイクスターズがブースターに向けて異例のメッセージを発信 [写真]=B.LEAGUE

 5月28日、滋賀レイクスターズの坂井信介会長、西村大介社長の連名でメッセージを発信した。ちょうどこの日、3シーズンにわたってキャプテンを務めた狩野祐介をはじめとする7名の主力選手の退団を発表。それを受けてクラブの責任者がブースターに向けてその事情を説明する異例のものだった。

 新型コロナウイルス感染拡大のためレギュラーシーズンの公式戦開催を残した形で中止となった2019-20シーズンは、実は滋賀にとって躍進の時でもあった。天皇杯では2次ラウンドで琉球ゴールデンキングスを破り、クラブ史上初のファイナルラウンド進出を果たした。さらに正月のさいたまスーパーアリーナでも滋賀は躍進する。準々決勝ではシーホース三河を破り、ベスト4へコマを進めたのだ。

 また、Bリーグでは、3月15日の時点で21勝20敗と5割をキープ。西地区では3位、ワイルドカードでも3位を維持して、初のチャンピオンシップ進出も狙えるポジションにいたとも言える。過去3シーズン、一度も最終成績で5割以上の成績を残せていたなっただけに、クラブの成長は明確だった。若手が思い切りのいいプレーを見せれば、要所でベテランがそれをフォローする。試合を重ねるごとに戦力が充実するその姿を、ブースターならずとも目にしたバスケファンも多かったことだろう。

 それだけにシーズンの中止はクラブにとって恨めしかったことだろう。さらに予定されていた試合が開催されないことでクラブの財政をひっ迫させたのは明白。クラブを存続させるための苦肉の策が主力選手の放出につながったと言えよう。

 クラブからのメッセージはその実情を包み隠さず、ブースターに語り掛けている。これだけ赤裸々に“本音”を伝えた内容は珍しいだけに、クラブのTwitterには1669のリツイート、4014のいいねがついた(5月31日20時現在)。ブースターだけでなく、チームに残ることを決めた選手たち、さらに過去に所属していた選手たちなどからもエールのコメントが寄せられている。

狩俣昌也(右)、伊藤大司の両ベテランがクラブに残り再建を誓った [写真]=B.LEAGUE

Taishi Ito(伊藤大司) @Taishito
Control what you can control.(自分ができることに全力を尽くす)

横江豊 @yutakayokoe
滋賀県出身、古巣の立場から言いますが、滋賀県民の全ての皆さんレイクスターズをこれからも支えて下さい!宜しくお願いします!

yuto otsuka(大塚裕土) @YutoOtsuka
今まで色々なクラブに在籍したけど、クラブのトップがこのように発信する事がどれだけ大切か分かります。

 滋賀からのメッセージにもあるように、新型コロナウイルスの影響は来シーズもクラブ運営に重く乗りかかるかもしれない。仮に試合が開催できたとしても、無観客試合を余儀なくされる可能性も否定できない。未曾有の危機の中、滋賀レイクスターズがどのようにそれを乗り越えていくのか。

 メッセージの最後は以下の文章で締めくくられている。

「皆さまのお力添えにより12年かけて段階的に成長してきた滋賀レイクスターズですが、創設以来最大の危機に瀕していると言っても過言ではありません。クラブ一同の力を尽くしてこの危機を乗り越え、再びチャンピオンシップ進出、日本一を目指すクラブ体制を構築していくため、引き続きの応援・支援を何卒お願い申し上げます」

 当媒体としてもその動向を注視していきたい。

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