10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。
第9回は、ジュリアン・マブンガや岡田侑大といったオフェンスに特長のある選手を多く加えた富山グラウジーズの浜口炎ヘッドコーチ。9年間率いた京都ハンナリーズを離れ、活躍の場を移した浜口HCは新天地でどのような采配をふるうのか。
インタビュー・文=吉川哲彦
取材日=2020年8月21日
――まずはじめに、富山のHCに就任された理由を教えてください。
浜口 非常に熱心にお誘いいただきました。もともと魅力的なチームでしたし、すでに契約が決まっていた選手たちと一緒にやりたいという気持ちがありました。それに、小学生の子ども2人を富山の自然の中で育てるのも良いと思ったので、そういった環境も含めて総合的に判断してお世話になることにしました。
――就任される前に選手がある程度決まっていたとのことですが、新加入の選手と既存の選手がフィットする手応えはいかがですか?
浜口 お盆明けにようやく4対4までできるようになったのですが、コミュニケーションを取りながらシステムを少しずつ落としこんでいます。選手の理解度も高いですし、うまく融合できそうな雰囲気があります。これまで自分がやっていたバスケットがメインになりますが、彼らは個の力があるので、良い部分を消さず、もっと出していけるようにと思っています。
――浜口HCと同じく京都ハンナリーズからジュリアン・マブンガ選手が移籍してきましたが、チームが変わることで彼の役割も変わってくる部分はありますか?
浜口 彼は賢くて何でもできるので、このチームで何が必要かということはすぐ分かると思いますし、彼が来ることによって他の選手の良さを引き出せると思います。ボールハンドラーが多すぎるという見方もあるでしょうが、宇都直輝選手や岡田侑大選手、そしてマブンガ選手がいることはメリットにしかならないと思います。
――富山にとっては城宝匡史選手の復帰もビッグニュースでした。彼には何を期待されていますか?
浜口 bjリーグ時代からシュートの上手い選手だと思っていましたが、一緒にやることになって実際に練習を見たら、とってもシュートが上手なんですよ。まずはそのシュート力ですね。それに、彼はいろいろなチームでたくさんの経験をしてきましたが、キャリアで一番長いグラウジーズのことはよく分かっている。リーダーシップを取って、もう一度チャンピオンシップに導いてくれることを期待しています。
名前が「炎」なので、本当に僕らしいチームに来たと思っている
――このオフは新型コロナウイルスの影響で大変難しい状況ですが、どんな影響がありますか?
浜口 本来なら8月下旬に外国籍選手が合流して、12名で練習できるというイメージだったので、日本人選手9人で、それもケガ人などで常にマックスでできるわけではないというところは大変でした。特に僕は新しくこのチームに来たので、チーム作りという点はより大変さを感じています。
――そのチーム作りという点で、浜口HCが大事にしていることは何ですか?
浜口 まずはお互いを尊重するということですね。いくら自分がプロのコーチだと言っても、それは選手がいなければ言えないことです。クラブがあって、マネージャーや通訳といったスタッフもいないと組織として成り立たないので、プロとしての立場をお互いに理解しながらチームを作っていくことが大前提です。それと、聞く耳を持つコーチでありたいということ。これまでのグラウジーズの良さを最大限に生かした上で、こうすればもっと良くなるんじゃないかとコミュニケーションを取りながらステップアップできればと思っています。
――では、今シーズンの目標をお聞かせください。
浜口 まずはチャンピオンシップに出ること。そこからは横一線なので、もちろん優勝を目指して頑張ります。楽しみな選手が揃っていると思います。
――最後にブースターへメッセージをお願いします。
浜口 これまでアウェーで来ていた時は、いつも会場が真っ赤だった印象があります。僕は名前が炎なので、本当に僕らしいチームに来たと思っているんです。良いチームを作りたいと思っているので、ぜひ後押ししていただいて、一緒に戦っていただきたいと思います。