千葉ジェッツvs宇都宮ブレックスのB1第3節第2戦。この日さく裂した喜多川修平の3ポイントは、いずれも効果的な3本だった。
17日の初戦を9点差で落とした宇都宮は、「昨日は千葉に負けていた」(安齋竜三ヘッドコーチ)というディフェンスの強度、戦術よりも大事な気持ちの部分で相手を上回り、第2戦はリードする展開。第2クォーター終盤には渡邉裕規、ライアン・ロシター、遠藤祐亮の3連続3ポイントが決まって10点リードすると、第3クォーター終了時点でその差を20点まで拡大し、勝利を手繰り寄せた。
この第3クォーターで殊勲の働きを見せたのは喜多川だ。
同クォーター残り3分6秒、LJ・ピークが右足首を負傷し交代を余儀なくされる。ピークはここまで苦しい時間帯で得点を挙げていただけに、チームとしても不運だっただろう。しかし、代わって入った背番号31が、トランジションからテーブス海のパスを受け取り1本目の3ポイントを沈めて57−40。残り52秒にはノーマークになったところを再びテーブスが見逃さず、喜多川は2本目の長距離砲を射抜く。この得点で21点差にした宇都宮は、その後もセーフティリードを保ち続け85−68でリベンジに成功した。
6分20秒と限られた時間の中で、放った3本の3ポイントを全て得点に結びつけた喜多川。3本目は勝利が確定した試合終了間際だったが、この得点にも大いに意味があったことが試合後の安齋HCの言葉から汲み取れた。
「バスケットは勝ち負けが決まると、最後の秒数をそのまま使って終わる部分があります。ですけど、(リーグ戦は)得失点も絡んでくるので、最後までやり切るということは今シーズン特にやっていかなきゃいけないところかなと思っています」
ディフェンスを最重視し、かつタレントが揃うチーム内において、「自分はポイントで試合に出ることが多いので、シュートよりはまずディフェンスの強度を落とさないように入ることを心がけています」と喜多川は言う。「空いたら積極的に打っていこうと思っている」と、シューターとしての矜持も忘れていないが、現状、喜多川のプレータイムは決して長くなく、直近の2試合では無得点に留まっていた。
「開幕してから自分の中でも苦しい時間がありました。試合出た時に慌ててしまったり、『結果を残さなきゃ』と先走ってしまって……。それがディフェンスにも響いて悪循環になっていましたね」と、本人も認める。
それでも、開幕6戦目で1つの結果を残したことで、試合後はホッとした顔を見せた。「HCからは自分の良いところを出して積極的に打っていけと言われましたし、チームメートも空いたらパスをしてくれました。今日決められたことは自分としても大きかったかなと」。
この日、喜多川は2本目の3ポイントを決めた際に小さなガッツポーズをした。それが大きなガッツポーズとなる日は、これから何度も訪れることだろう。
文=小沼克年