今シーズン、初の水曜日開催となった10月21日、アルバルク東京はホーム、アリーナ立川立飛で宇都宮ブレックスとこちらも初の顔合わせとなった。ともに東地区の強豪、1敗同士の首位争いに注目が集まった。
ティップオフのボールを奪って最初にオフェンスを行ったのはA東京だったが、ここは宇都宮がシュートを許さず、24秒バイオレーションを犯させる守りを見せる。しかし、その後、ペースをつかんだのはA東京だった。堅固な宇都宮のディフェンスに対して田中大貴と菊地祥平がドライブで縦に切り裂き、先鞭をつけた。
宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは開始2分33秒と早めにタイムアウトを請求し、立て直しを図った。比江島慎がジャンプシュートでチーム初得点を上げれば、その比江島に代わってコートインしたLJ・ピークが3ポイントシュートを決めて、反撃の態勢を作る。さらに、安齋HCが送り出したセカンドユニットが繰り出したオールコートのプレスディフェンスが奏功。A東京の得点を抑えると、竹内公輔がオフェンスリバウンドをねじ込み、逆転に成功した。
しかし、A東京も黙っていない。田中の連続得点で逆転するとアレックス・カークが3ポイントを沈めてリードを奪い返す。その後は互いに10点以上のリードを奪えない我慢の展開の中、激しい攻防が続く中、第3クォーター終盤から第4クォーターの序盤に宇都宮は9-0のランを見せ、リードを奪う。粘るA東京はカイル・バローンのゴール下で逆転するも、宇都宮はジェフ・ギブスがオフェンスリバウンドをねじ込んで逆転。さらにギブスは残り28秒に、ここでもオフェンスリバウンドを奪ってシュートを決め、勝利を呼び込むパフォーマンスを見せた。
勝利を収めるも安齋HCはA東京を評価
試合後の会見で、安齋HC、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCがともに勝敗のポイントにあげたのが「リバウンド」だった。スタッツは宇都宮が46本に対してA東京が35本と11本リード。さらにオフェンスリバンドでは宇都宮が18本も奪い、勝利を呼び込む大きな要因となった。
「ターンオーバーが多かったのが気になるが、集中してディフェンスとリバウンドができた」と安齋HCは評価。「今シーズンのテーマは誰が出ても自分たちのスタイルを貫くこと。ディフェンスのエナジーは先に東京さんに出させてしまったが、本来ならもっとディフェンスをやらなければいけない」と勝っても反省の言葉を忘れなかった。
対するルカHCは「宇都宮は千葉(ジェッツ)、川崎(ブレイブサンダース)と並んでリーグを代表するチーム。その中で宇都宮が頭一つ抜けている印象がある」と現状を分析する。「その宇都宮に勝つには2つのポイントがある。走らせないこととオフェンスリバウンドを抑えること。ハードにプレーをしてそれができた時間帯はあったが、大事なところでオフェンスリバウンドを2本とられ、ロシターに走られてしまった」と、冷静に試合を振り返った。
今シーズンの東地区、いや、リーグ全体の今後を占うためにも注目を集めた一戦は、激しい攻防の末、最後に抜け出した宇都宮が先勝した。その中で安齋HCは「選手がそろわない中、東京さんは素晴らしいバスケをしていた。あの遂行力はさすが」とライバルを評価する。そして、「その戦いの中で自分たちも成長できる」と、手ごたえをつかんだようだ。
とはいえ、まだ1試合を終えただけ。次戦は12月19日、20日、宇都宮のホーム、ブレックスアリーナで行われることになっている。それまで両チームがどのようにチームを熟成させていくのかも目が離せない。
文=入江美紀雄