2月6日、アリーナ立川立飛で行われたアルバルク東京と信州ブレイブウォリアーズの一戦。2シーズン前の2018-19シーズンにてカテゴリーは違うが、チャンピオンシップを獲得したもの同士が初めてB1の舞台で対戦した。
B1初のシーズン、屈指のディフェンス力を武器にこれまでのリーグ戦で川崎ブレイブサンダース、シーホース三河、琉球ゴールデンキングスなどの強豪から白星を獲得してきた信州。このゲームでもA東京を相手に激しいディフェンスで流れをつかませず、第3クォーターまでは一進一退の攻防を演じる。しかし、第4クォーターの序盤での相手の連続得点で点差が2ケタに広がると、最後まで追いつくことができず73−83で敗戦を喫した。
信州の勝久マイケルヘッドコーチは「チャンピオン相手にチャレンジャーの我々がリバウンドやルーズボールなど、五分五分のボールに対して負けていたのが一番残念な部分です。我々は日々成長することが目標の中で、気持ちやボールへの執着心で相手に負けてしまったのが本当に悔しい」と試合を振り返った。
また、この試合では最終的に相手を抑えきれなかった強みであるディフェンス面に関しては「まだまだです、理想では決してない」と言葉を残したうえで、「相手にフリースローを25本与えてしまった部分、そしてリバウンドをしっかり自分たちでコントロールできなかったのは大きかったです。明日はディフェンスの遂行力を上げて、リバウンドをチーム全体で頑張り、相手にフリースローを与えないようにしたい」と話す。
しかしながら、これまでのレギュラーシーズンでの失点数の少なさを考えると、信州のディフェンスは本物と言っていいであろう。その中心人物の一人がフランチャイズプレーヤーである三ツ井利也だ。「チャンピオンチームに対して、エナジーを出してタフにやることを続けようと思ったけど、40分間続けられなかった。ルーズボールやリバウンドなど五分五分のボールを自分たちのものにできなかったのが反省点です」と、試合後にゲームを総括。三ツ井も勝久HC同様、ルーズボールやリバウンドへの対応を反省点とあげた。
さらに三ツ井自身は前後半を通してファールトラブルに陥ってしまい、出場時間は約15分止まり。「B1の舞台で自分はキーマンやエースに付くことが多い。今日もコートに居続けないといけないと自覚していた中で、ファールトラブルで出場時間を削るのはもったいなかったです。明日はジャッジにアジャストして、今日のような形にならないようにしたい」と悔しさを露わにしていた。
それでも勝久HCの三ツ井への信頼は厚い。「彼はチームナンバー1のディフェンダー。マック(アンソニー・マクヘンリー)やウェイン(ウェイン・マーシャル)と同じようなレベルをディフェンスで保ちながら、毎試合相手エースにマッチアップしてくれています。もう素晴らしいですし、頼もしいです。長野出身で地元チームを想う気持ちも強い。また、私と同じようにチームのスタンダードが常に高いものであってほしい意識からリーダーシップも発揮してくれている。これからも体を張ったタフなディフェンスと、そのリーダーシップでチーム牽引してほしい」。
ヘッドコーチからの絶大な信頼を得ながら懸命にプレーする三ツ井。この試合は反省点ばかりを語っていたが、1つ小さな夢が実現した。同郷かつ、東海大学付属第三高校(現:東海大学付属諏訪高校)と東海大学の先輩である2歳上のザック・バランスキーとのマッチアップ。第4クォーターには彼のディフェンスのうえから見事な3ポイントシュートも沈めた。「あの瞬間は正直、無我夢中だったので……今日はあまりマッチアップする機会が少なかったけど、ザックさんを交わしてシュートを決められたのは良かったと思います」と、その瞬間を振り返ってくれた。
持ち味のチームディフェンスの遂行力を、確実に40分間継続できるか。チャレンジ成功のカギは、これしかないだろう。そのためにも三ツ井がコートに長く立ち続けることは大事なポイントなのだ。第2戦もち注目したい。
文=鳴神富一