8月27日、アースフレンズ東京Zはケイン・ロバーツの入団会見を実施した。
神奈川県出身で現在18歳の同選手は、187センチ81キロのポイントガード兼シューティングガード。アメリカン人の父と日本人の母を持ち、日本国籍を保有。昨年の3x3男子U18日本代表候補メンバーにも選ばれていた。
今シーズン終了後にNCAA(全米大学体育協会)に所属する大学への入学に挑む予定で、これはBリーグで初めての事例になるという。NCAAの規定では、プロ選手としてのプレー経験がある場合はチームへの入部を認められていない。そのため、ロバーツはアマチュア選手として東京Zでプレーすることとなる。なお、同選手はNCAAからNBA、あるいはユーロリーグのクラブに入ることが目標だという。
会見では同席した東頭俊典ヘッドコーチがロバーツ入団の経緯を説明。昨年アンダーアーマーが開催したバスケットボールキャンプ「Underrated Tour」でロバーツに注目し、新型コロナウイルスの影響により同選手がアメリカにはいかず、1年間日本でプレーする可能性があると聞いて、契約の準備を進めたという。
18歳でのトップリーグ挑戦については、15歳でトップチームと契約したルカ・ドンチッチなどの例を挙げ、「世界的に言うと、18歳というのは決して早い方ではない」と説明。また、シーズン終了後にNCAAに挑戦するという事例についても、「18歳で一度プロを経験して、そのあとNCAAの大学に挑戦できる。その道を見つけたのが非常に大きいと思いますし、これが成功して、今後の日本人選手がそういう選択肢を持てれば、日本の強化にもつながっていく」と見解を話した。
さらに、ロバーツのプレーについては「今まで18年コーチをしてきた中で、最も速い選手。今まで一番速かった選手は新潟の五十嵐圭選手と三河の柏木真介選手でしたが、ケインと出会って、ケインが一番速い」とそのスピードを絶賛。昨シーズンまでチームの得点源として活躍した増子匠(現信州ブレイブウォリアーズ)の名前を出しつつ、「彼の穴を埋める、もしくはそれを超えられる可能性もあるかもしれないと思っています」と期待を寄せた。
馬場雄大は「自分が17歳の時よりもはるかにうまい」と評価
昨年はカリフォルニアの高校でプレーしていたが、それ以前は日本に在住し、横須賀基地内の学校や横浜ビー・コルセアーズU15でプレーしていたロバーツ。日常会話やチームメートとのコミュニケーションは問題ない程度に日本語を話せるというが、「公式な場では不安な面もある」として会見には英語で臨んだ。
冒頭、ロバーツはチームの目標として「強い結束、ケミストリーを創り出して、チームみんなで成長していくこと」と「プレーオフ出場、優勝」を掲げた。また、個人的な目標については「経験のあるベテラン選手からいろいろと学んで、自分のスキルアップにつなげていくこと」と話し、「このチームを去る時に、自分はこのチームにインパクトを残したんだという実感を持てるような活躍をしたい」と意気込みも述べた。
現状は日本代表とアメリカ代表、どちらも目指すことができる立場にあるが、「個人としては日本代表を目指すことを意識しています」とロバーツ。東頭HCは改めて「成長スピードには目を見張るものがある。今まで教えてきた選手の中でも、かなり上のレベル」とロバーツ選手のポテンシャルの高さを話し、同選手に対する期待値の高さをうかがわせた。
また、東頭HCはロバーツがこのオフ期間中に馬場雄大(メルボルン・ユナイテッド)にプレーを見てもらう機会があり、彼から「自分が17歳の時よりもはるかにうまい」「早く代表に上がってきてほしい」と激励されたエピソードも明かした。
大きな期待が寄せられる18歳のロバーツは、はたしてB2でどれだけの存在感を示すことができるのか。岡田優介や綿貫瞬などの経験豊富な選手から、どのようなことを学び、成長するのか。2020-21シーズン、東京Zの若き#4の活躍に注目したい。