「負けました。それだけです」。28日に行われた桜花学園高校(高校総体1/愛知県)との女子ウインターカップ決勝後、岐阜女子高校(高校総体2/岐阜県)の安江満夫コーチは、すっきりとした表情でただ一言を述べた。
第1ピリオドで大量24点を与え、第2ピリオドでは11点に抑えたディフェンスについて質問が挙がると、「第1ピリオドで24点を許してしまうのはうちのバスケットじゃない。桜花と試合をやる時は第1ピリオドが大事だが、キャリアのなさが出てしまった」と、重要な入りの部分での経験不足を悔やんだ。
前回大会の決勝戦において、今大会同様に桜花学園を追いかける展開の中、ラストで逆転し、“冬の女王”の座を射止めた岐阜女子。しかし、連覇を懸けて臨んだ今年は最後の最後で振りきられ、2年連続の女王の座にあと一歩及ばなかった。
昨年と同様に激しいポジション争いを繰り広げた桜花学園の馬瓜ステファニーと岐阜女子のディヤイファトーに関して、安江コーチは「勝負は負けた方が蓄積するエネルギーが大きい。昨年負けた馬瓜の方がエネルギーが上だったのでは……」と語り、相手エースの成長と健闘を称えた。
「うちに日本代表選手はいないけれど、目標を持って取り組めば結果を残すことができる。成長率では負けていない。どうか、うちの選手を日本代表に選んでください(笑)。私の態度が悪いから選ばれないのかな(苦笑)」と話して笑いを誘い、会場を後にした。
最後まで粘り強く桜花学園を追う姿に惜しみない声援を送り続けた東京体育館の観衆は、この年の“グッドルーザー”岐阜女子を忘れることはないだろう。
文=村上成