ディフェンディングチャンピオンはやはり強かった。大阪2位で平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)に出場した阪南大学高校(大阪府)は福岡第一高校(福岡県)に65-85で敗れ、ベスト16で夏を終えた。ただ、チームの持ち味であるプレスディフェンスで真っ向勝負ができたことに、ある程度の手応えを感じている。
福岡第一の留学生センター、バムアンゲイ・ジョナサンとマッチアップし、19得点11リバウンドの“ダブルダブル”を達成した中原啓太は、姿勢の良さを糧に急成長した選手だ。
姿勢とはバスケットの基本とされる“パワーポジション”のこと。腰を落としたスタンスをとることによって、相手からの圧力にも押され負けずに対抗できる。ディフェンスやリバウンドのボックスアウトで特に重要とされる基礎技術に優れていた成長を示す。
中学時代は大阪市選抜に選ばれていたが、府レベルではなかった。阪南大高に入学した時に「最高の武器を1つ作ろう」と決意。それがリバウンドだった。周囲からのアドバイスを受けながらボックスアウトを徹底し、飛ぶタイミングを研究。その一環で「姿勢」に着目した。
「(アフリカ系の)外国人は骨盤が立った姿勢をとっていると聞いて、骨盤を立てるようにしています。いつからやり始めたかは覚えていないけれど、体の軸がズレないようになりました」
森本正コーチは今年のチームを「人間として魅力的な選手が多い代」と評する。
「バスケットってどうしてもシュートなどスタッツに残るプレーに目がいきますが、それよりもディフェンスをひたむきにやり続けたり、ルーズボールに飛びこんだり、不利な位置から回りこんでリバウンドを取ったり。泥臭いところを自分の武器だと思ってがんばれる子が多いんです」
中原もその一人。森本コーチは「今年1年でグンと成長した選手」と称えた。
「福岡第一は本当に強くて手に負えなかったんですけど、前からプレスを掛けてゴチャゴチャやる、自分たちのバスケができて良かったです」
あまり受けたことがないというインタビューに照れながらも、さわやかに笑った。
文=青木美帆