12月28日、東京体育館にて「ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会」女子3位決定戦が行われ、八雲学園高校(東京都)は桜花学園高校(高校総体2/愛知県)と対戦した。
試合は序盤から桜花学園のペース。八雲学園は連戦の疲労からか動きが重く、パスミスやイージーシュートをこぼすシーンが目立ち、今大会屈指の攻撃型チームとしての姿は影を潜めた。八雲学園のスーパーエース奥山 理々嘉(2年)は桜花学園の藤本愛瑚、伊森可琳の厳しいマークを受け、自由なプレーを許されず、苦しい体勢からのシュートを強いられる。
この大会で奥山は、郡山商業校(福島県)との2回戦で45得点、徳山商工高校(山口県)との3回戦では大会最高得点記録を塗り替える62得点をあげると、続く準々決勝の広島皆実高校(広島県)戦で42得点、そして昨日の準決勝でも安城学園を相手に敗れはしたものの42得点を挙げるなど、圧倒的なパフォーマンスを見せてきた。しかし、この試合では得意のインサイドから押し出されると、外から1on1をしかけるシーンも多く、準決勝まで見せていた絶対的な支配力を最後まで発揮することができなかった。
圧倒的な攻撃力を武器に準決勝まで“取られても取り返すバスケ”で勝ち上がってきた八雲学園だが、3位決定戦では、桜花学園の厳しいディフェンスの前に最大の武器を封じられると、試合を通して一度も自分たちの流れをつかむことができなかった。
結局、桜花学園の山本麻衣、藤本にそれぞれ24得点を許すなど攻守に圧倒された八雲学園は50-83で敗れ、大会4位に。女子最多得点記録を更新し、そのスコアリング能力を全国に見せつけた奥山理々嘉のウインターカップは幕を閉じた。
試合後のミックスゾーンで取材に応じた奥山は連戦の疲れについて問われると「身体じゃなくて、気持ちの面だと思います」と涙を流しながらも気丈に語ると、「自分の技術や相手と戦う気持ちが足りなかった」と、この試合を振り返った。
この大会を通しての感想については、「1年間振り返えると、自分のやってきたことを(試合で)出すことができました。ただ、3位決定戦は自分の役割ができておらず、悔いの残る大会となってしまいました」と最後の試合で役割を果たせなかった自身を責めた。続けて、最後の試合となった先輩への想いを問われると「(3年生は)キャプテンをやっている自分を支えてくださって……。その感謝の気持ちをコートに出そうと思ったのですが、自分の力が足りなくてこのような結果になってしまい申し訳ないです」と声を震わせ、「もう一度ここに戻ってきて来年は日本一になりたいので、まずは一からやりなおします」と前を向いた。
自身が語ったとおり、3位決定戦では名門桜花学園の前に16得点に封じられた奥山だが、準決勝までの4試合で191得点、1試合平均47.8得点を挙げる驚異的なペースで得点を積み重ねた。高校屈指のスコアリングマシンへと成長を遂げた奥山は、このゲームで引退する3年生の想いを胸に、再びウインターカップの頂点を目指し、さらなる成長を遂げて冬の舞台へと戻ってくるに違いない。
文=村上成