4月から新学期がスタートし、高校バスケ界では各チームにルーキーたちが加入。昨年の1、2年生も学年が1つ上がり、ここから本格的なチームづくりを図っていく。今回、バスケットボールキングでは2019年に注目すべき選手を独自にピックアップした。
■男子注目選手(18)須藤陸(3年/能代工業高校/秋田県)
2月に行われた東北ブロックの新人戦、「第29回東北高等学校男女新人バスケットボール選手権大会」を制した能代工業高校。オフェンスの中心はスコアラーの秋元淳之介と、強気のアタックが魅力の司令塔・伊東翼だが、小野秀二コーチはキャプテンの須藤陸に絶対的な信頼を置く。
その須藤、能代カップの初戦、洛南高校戦では5本の3ポイントシュートを含む28得点を挙げている。スコアラーとしての才能を見せる一方で、シュートタッチがよくない試合ではスペーシングを保ち、チームメートのためにスクリーナーになり、リバウンドにも飛びこんでいく。177センチという、決して大きくないサイズでありながら、そうした献身さが能代工業のキーマンたるゆえんなのだろう。
「自分自身、リバウンドは得意だと思っています。シュートが入っていないときにほかの面で自分ができることを考えると、そうした細かくて、泥臭い部分でチームに貢献するよう自分なりに考えてやってきました。でもやっぱり得点できないと苦しい試合になってしまうので……」
能代カップでは福岡大学附属大濠高校戦、開志国際高校戦こそ1ケタの得点にとどまったが、最終日の中部大学第一高校戦、明成高校戦はそれぞれ4本の3ポイントシュートを沈めて、チームを勝利まであと一歩のところまで引きあげた。
「自分の役割を果たすことができれば全国トップレベルのチームとやっても勝てると思います。それがわかった分、逆に役割を果たせずに大敗したことは悔しいし、もったいなかったです。決められるシュートを決められなくなったときに、シュートのことばかりを考えて、うまく切り替えられていない時間帯もありました。メンタル面やフィジカル面はまだまだです」
須藤は目立つタイプではない。エースでもない。しかしキャプテンとしての責任感、自覚が彼のシュートに乗り移ったとき、能代工業の勢いはさらに加速しそうだ。
写真・文=三上太