2019.04.02

福岡第一、全国の強豪集う「KAZU CUP 2019」を全勝で終える…2年連続4回目の優勝

福岡第一の強さは今大会でも頭一つ抜けていた[写真]=大澤智子
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福岡第一は2年連続の全勝優勝を達成

 3月27日から29日の期間、日本工学院八王子専門学校にて『日本工学院 Presents KAZU CUP 2019』が開催された。

 過去には女子日本代表のヘッドコーチを務め、これまで数々の功績を残してきた中村和雄氏の発案で開催されているKAZU CUPは今回で8回目。全国各地から計16チームが参戦した今大会は、福岡第一高校(福岡県)の2年連続4回目の優勝で幕を閉じた。

 4グループに分かれて実施された予選リーグを危なげなく1位で突破した福岡第一。決勝リーグ初戦では、17日の「第18回おきなわカップ」決勝で接戦の末に勝利した開志国際高校(新潟県)との再戦となった。しかし、わずか39失点に抑えこむ堅守を発揮し、44点差をつけての圧勝。続く八王子学園八王子高校(東京都)戦、延岡学園高校(宮崎県)戦でも控えメンバーを出場させる余裕を持った試合運びを見せ、昨年に引き続き全勝優勝を達成した。

「自分たちが点差をつけることで、控え選手にいろんな経験を積ませることができたのはよかったです。以前は(控えメンバーが出ると)流れが悪くなったりしたんですけど、いい流れで試合を運んでいるところが見れたので、安心して交代できるようになりました」

 大会後、そう振り返ったのはゲームキャプテンを務める司令塔の河村勇輝。自身のプレーについては「ガードとしてもっとミスを減らして、見ている人が安心するようなガードになっていきたい」とさらなる意欲を示し、「一つひとつの大会を大差で勝ってきてはいますが、そこでおごらずに自分たちのことを見つめ直して、初心の気持ちを持ってしっかりやることが大事」と今後を見据えた。

ベンチメンバーでも相手の主力と互角に渡り合った[写真]=大澤智子

 福岡第一に河村、小川麻斗という絶対的な2ガードがいるように、延岡学園にも森下瞬真、木下岳人というチームをけん引するガードがいる。同校は「第49回全九州高等学校バスケットボール春季選手権大会」に続いて福岡第一には差をつけられたものの、手応えのある準優勝で今大会を終えた。「難しいゲームもたくさんあったんですけど、そういうゲームを勝ちきれたことでタフになれました。それは選手たちも感じていると思います」と若き指揮官・楠元龍水コーチが評価したように、予選リーグでは明成高校(宮城県)を87-63で退け、決勝リーグでは開志国際に競り勝つなど、試合ごとに力をつけているような印象であった。また、昨年8月に就任したばかりの楠元コーチは全九州大会の際、「僕自身もいろんな指導者から学びたい」と口にしていた。KAZU CUPでは中村氏をはじめ、明成の佐藤久夫コーチなど数々の名将から刺激を受けたようだ。

「まず、僕なんかよりも勉強していますし、バスケットに対する情熱や生徒の指導であったり、“本気度”が違う。もっと見習わないといけないですし、若い僕が誰よりも情熱を持っていなければならないなと思いました」

 強くて速いバスケットを掲げる延岡学園だが、楠元コーチはそれ以前に「誰からも応援してもらえるような、応援したくなるようなチーム」を目指している。

延岡学園を率いる楠元コーチは現在24歳[写真]=大澤智子

初出場は2校。全国常連校も新たなスタイルを模索中

 予選リーグの初戦で相まみえた八王子学園八王子と桜丘高校(愛知県)は、昨年のチームから木村圭吾(八王子学園八王子)、富永啓生(桜丘)という大エースが抜け、新たなスタイルの構築を図っている。

「今年は守って守って守りきるチーム。そうでないと、得点が取れる選手がいないからちょっとキツいかなと。マンツーマンとゾーンディフェンスの併用で今はやってます」と八王子学園八王子の石川淳一コーチが話せば、桜丘の江崎悟コーチも「今年は得点力がないので守らせたい。ロースコアゲームで勝ちきる戦い方を目指す」と口をそろえた。その言葉どおり、今大会での両者の対戦は63-59の守り合いとなり、八王子学園八王子に軍配が上がった。

守備力向上を目指す八王子学園八王子。だが、福岡第一と開志国際には90失点を喫した[写真]=大澤智子

 今大会で初のKAZU CUP参戦となったのは、高岡第一高校(富山県)と足立学園高校(東京都)の2校。地元の足立学園は予選3位グループリーグ1位で今大会を終え、「全敗するかなとも思ったんですけど、ある程度結果が出たのでそこはびっくりしています」と八木一徳コーチは本音を漏らしたが、「こんなに素晴らしい大会に参加させてもらえて光栄です。わざわざ全国から東京に来てもらえて本当に感謝しています」と参加チームに感謝の言葉を送った。一方の高岡第一は、予選リーグから連敗が続き苦戦を強いられた。だが、最終戦では日本大学東北高校(福島県)に快勝し1勝を持ち帰った。坂本尭志コーチは「強豪校の中に混じらせてもらって、メンタル的にかなりキツかったと思うんですけど、最後までやりきったことは評価したいと思います」と選手たちを称えた。

高岡第一は最終戦で大きな1勝を挙げた[写真]=大澤智子

 結果的には、福岡第一が改めて他チームとの差を見せつけた形となった今大会。しかし、前述した延岡学園や3位に輝いた開志国際、福岡第一の井手口孝コーチが今後に向け最も警戒していた明成など、強豪16チームが集った3日間は間違いなく“春の全国大会”と呼ぶにふさわしいものであった。

 昨年はKAZU CUP出場チームからインターハイとウインターカップ王者が誕生したように、今年もこの16校から全国大会を制するチームが現れるかもしれない。

■大会結果
・グループ1位
1位:福岡第一
2位:延岡学園
3位:開志国際
4位:八王子学園八王子

・グループ2位
1位:明成
2位:桜丘
3位:尽誠学園
4位:駒大苫小牧

・グループ3位
1位:足立学園
2位:神戸村野工業
3位:直方
4位:沼津中央

・グループ4位
1位:北海道栄
2位:旭川工業
3位:高岡第一
4位:日大東北

■個人賞
MVP:河村勇輝(福岡第一)
MIP:森下瞬真(延岡学園)
ベストコーチ:井手口孝(福岡第一)

取材・文=小沼克年

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