2020.10.13
昨年のウインターカップでは、他を圧倒する強さで優勝を果たした福岡第一高校(福岡県)。同校のスタイルである“走るバスケット”の起点となり、チームに2年ぶり3度目の栄冠をもたらしたのは河村勇輝と小川麻斗の2ガードだ。相手を欺くアシストで得点を演出する河村と、抜群のシュート力で自ら得点を奪う小川。今年、最上級生となった2人は “ダブルキャプテン”という形で新チームを引っ張るという。ここでは、全国最強とも言えるガードコンビに、2人の関係性やキャプテンとしての意気込みなどを語ってもらった。
インタビュー・文=小沼克年
写真=佐々木啓次、兼子慎一郎
――せっかくなので、まずは“他己”紹介をお願いします。
河村 今年のチームキャプテンを務める小川麻斗です。福岡県の西福岡中学校出身で、全中出場とか今までたくさんの成績を残してきてます。シュートがとても上手いので、「ここ1本ほしい!」って時に決めてくれたり、相手の気持ちを折るシュートを確実に決めてくれるところが本当に頼もしいです。
小川 ゲームキャプテンの河村勇輝です。山口県の柳井中学校出身。(アンダーカテゴリーの)日本代表でも活躍していて、福岡第一でもポイントガードとして、みんなが打ちやすいアシストをしてくれる選手です。
――ありがとうございます。互いに何と呼んでいますか?
河村 普通に下の名前ですね。「ユウキ」と「アサト」。
――お2人の最初の出会いは?
河村・小川 小学5年。
河村 ミニバスの時ですね。広島県でやったカップ戦で対戦相手でした。その時は戦ったことがあるだけで、お互いの名前とかは知らなかったです。最初は6年生だと思ってました。5年生とは思えないプレーをしていたので。
小川 (勇輝も)身長は小さかったですけど、ボール運びとかもしっかりできてましたね。
――ちゃんと話したのはいつ頃でしたか?
河村・小川 小6。
河村 ミニバスの監督同士が仲良かったので、たまに合同練習をやってました。お互いキャプテンだったので、そこで話したことで、(話す)機会が増えたって感じですね。
――その時の印象は覚えていますか?
河村 強いチーム(百道シューティングスターズ)のキャプテンということもあって、すごいしっかりしているなという印象でした。
小川 同じです(苦笑)。正直、そんな(覚えてない)……。
――(笑)。今年はお2人で“ダブルキャプテン”を務めるそうですね。そうなった経緯を教えてください。
河村 最初は井手口(孝)先生や先輩方に指名されて自分がキャプテンをやる予定だったんです。でも、「ちょっとやり切れないな」という感じだったので、麻斗に無理やりやってもらった感じですね。
――やり切れないというのは?
河村 性格的に言い切るタイプではなくて、そういったところは麻斗の方ができる部分があるので。でも、自分がキャプテンをしない訳にもいかなかったので、“ゲームキャプテン”をやることにしました。別にゲームだけじゃないですけど、試合の時はより覚悟を持って引っ張らなきゃいけないなと思って引き受けました。
小川 ホテルの相部屋で「キャプテンどうする?」という話になって、「俺、キャプテンやり切れない」(河村)って。最初僕も「他の人にやらせる?」って言ったんですけど、勇輝は試合でもポイントガードとして声を出してくれますし、そういった意味では自分が(チームに)何もしてやれないのはダメだと思ったので「キャプテン俺やる」って言いました。「その代わりにサポートお願い」って(笑)。
――お2人はコートの中と外では性格が変わったりしますか?
河村 2人ともコート内とコート外では違う感じだと思います。
小川 “はしゃぐ系”かなと思います。みんなとフレンドリーで楽しんでる感じです。
河村 そうですね。(麻斗は)先輩後輩問わず仲良く接していて、コート外でもバスケのこと考えている感じもしますね。
――2人は声で引っ張るタイプ、それともプレーで引っ張るタイプどちらですか?
小川 プレーで引っ張っていきたいですけど、声を出さないとみんなついてこないと思っています。あまり怒ったりはしたくないタイプなので、たまに見て見ぬふりをしてしまうんですけど、言わなきゃいけない時はチームメートを集めたりして声をかけています。
河村 試合中はポイントガードが1番声を出さなきゃいけないと思っています。プレーも大事ですけど、それよりも自分は声をかけてみんなを落ち着かせたり、引っ張っていかなきゃいけないので積極的に声は出すようにしています。
――お2人にとって井手口先生はどんなコーチですか?
小川 練習中の指摘はちゃんと時間をかけて具体的に言ってくれるので、全国的にもそういうことをしっかり言ってくれる先生はいないかなと感じています。
河村 福岡第一をイチから作り上げていますし、バスケットに対する熱だったりやってきている年数が自分たちとは違うので、言ってることに説得力があります。何十年も指導してきて、一番良かったことを自分たちに教えてくれていると思うので、すごくタメになりますし一つひとつの言葉がプラスになっています。
――怖いか、優しいかで言うと?
河村・小川 練習中は怖い(笑)。
小川 笑ってたりする時は優しい。
河村 ちゃんとオンとオフがしっかりしていて、練習中とかでも楽しい雰囲気になった時は笑ってますね。練習後はわりと先生から他愛のない話をしてきてくれます。
――お2人の間で「ここは勝っている」という部分は?
河村 自分はほとんどケガしないので、そこは勝ってると思います。麻斗は結構ケガが多いです。
小川 朝は自分の方が強いです!
河村 自分は早く寝ても朝起きれないですね。朝練来たら麻斗が先にシューティングしてるんですけど、「あれはできないな」って思います。
――小川選手はだいたい朝何時くらいに体育館に来るのですか?
小川 最近は遅くなったんですけど、基本6時ですね。
――河村選手は?
河村 6時半とか6時40分とか。でも、そのくらいがみんな来る時間帯です。
――試合中、「ここは任せておけば平気だな」と思うところは?
河村 (クベマジョセフ)スティーブとのピック&ロールは全国でも相当止めにくいと思います。あと、フリーのシュートは大体入るので、できるだけ自分が相手を引き寄せて、麻斗に(パスを)渡して打たせようとは思っています。
小川 みんなが打ちやすいようにパスを出してくれるところです。「ノーマークだから決めないと」っていう気持ちになりますね。あと、自分とか周りの選手が入らなくなった時に、3ポイントを決めたりしてくれるところも頼りになります。
――逆に「もっとこうしてほしい」という部分はありますか?
小川 勇輝はもっと攻めていい。
――河村選手は自分が攻めるというより周りを活かすタイプですよね?
河村 練習中は自分がシュートを決めてもあまりタメにならないと思っているので、練習ではしっかりみんなを使って合わせるようにはしています。それが練習からできていないと、試合でも通用しないので。
――なるほど。河村選手は他にありますか?
河村 お互いそうですけど、気分が上がらない時に他の選手に任せちゃう部分があるので、そこは今後しっかり集中してやらないといけないかなと。
小川 そうですね。周りにも点を取ってほしいので人任せにしてしまうというか……。やっぱり自分たちがしっかりしないといけないと思います。
――本格的なチームづくりはこれからですよね。最後に今年の目標とキャプテンとしての意気込みをお願いします。
河村 去年あれだけの大差でウインターカップを優勝できたのは、(キャプテンの松崎)裕樹さんと(副キャプテンの古橋)正義さんがチームをまとめてくれたからこそだと思います。それを経験したことで今年も一丸となれば絶対に勝てるという自信があるので、今年は自分と麻斗がみんなを巻き込んでいきたいです。
小川 去年は裕樹さんがしっかりとチームを引っ張ってくれたので、その後継ぎとして今年は自分がリードしつつ2人でチームをまとめていきたいです。去年はインターハイ初戦敗退という悔しい思いもしているで、今年はインターハイ予選で大濠(福岡大学附属大濠高校)を倒して本戦に出て、夏と冬の2冠を目指します。
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