2022.05.13
大学バスケ界にとっては、本当に長い長い待ち時間だった。
新型コロナウイルス感染拡大の猛威により、日本バスケ界も“一時停止”を余儀なくされたが、Bリーグは3月まで2019-20シーズンのリーグ戦を実施。中学や高校カテゴリに関しても、生活が一変する前の1月、2月は各地で新人戦などが行われていた。
しかし、大学バスケは違う。昨年12月のインカレを持ってシーズンが終了しており、新チームでの公式戦が一戦も行えないまま自粛期間に入った。関東大学連盟では春のトーナメント(選手権大会)、新人戦、そしてリーグ戦の中止も決定。選手たちは各自でトレーニングに励みながらも、暗中模索の状態で悩み続けていた。
「5月、6月は『何してんだろうなぁ』という時期もありました」(拓殖大学4年・杉野晴輝)
「公式戦がなくなってしまったことで、途中モチベーションが下がってしまいました」(日本大学4年・杉本天昇)
1部から5部がそれぞれに分かれて実施される今大会、1部は計12チームが参加し、10月10日、11日はエスフォルタアリーナ八王子で計8試合が行われた。
11日の準々決勝の組み合わせは、大東文化大学vs日本大学、青山学院大学vs白鷗大学、専修大学vs東海大学、日本体育大学vs筑波大学。昨季リーグ戦の順位をもとに決定したこともあってか、奇しくも昨年のインカレ準々決勝と全く同じカードだ。
結果は大東文化大、白鷗大、東海大、筑波大がベスト4進出を決め、東海大のみが昨季インカレのリベンジを果たす形となった。
この一戦、東海大は第3クォーターで西田優大(4年)、佐土原遼、八村阿蓮(ともに3年)の先発組がそろって3ファウルとなり苦戦を強いられる。しかし、代わって入った控えメンバーが堅い守備から速い展開に持ち込むと、相手にもミスが出て8点差をつけて最後の10分間へ。第4クォーターも坂本聖芽(3年)が鬼気迫る表情、プレーでチームにエナジーを与えれば、河村勇輝は八村の3本のダンクを引き出して見せ場を作る。終わってみれば88-70と差が開き、25日の準決勝行きを決めた。
プロの舞台にも立った河村を筆頭とする“河村世代”とも言うべきか、各チームではすでに一定のプレータイムを得て存在感を示した1年生が数名いる。
その例をいくつか挙げると、河村はプレーだけでなく、10日の試合で某テレビ局の取材班を出向かせるほど大学でもさっそく影響力を発揮。日本大の野口佑真と日体大へ進んだ小川麻斗は、初戦でともに10得点を挙げる活躍を見せた。
小川は筑波大戦で菅原暉、野本大智(4年)という大学屈指のガード陣とマッチアップし、「スピードは通用したと思いますけど、それだけでは勝てない。2人ともフィジカルが強く思うようにプレーができなかったので、見習わなければ」と今後の糧にした。
「今はフィジカルにも慣れてきました」と、192センチでダイナミックなプレーが持ち味の白鷗大・脇真大は2戦連続のスタメン出場。網野友雄コーチも「得点の面でどんどん積極的にプレーしてほしい」と、期待を寄せている。
また、大黒柱を担う新留学生にも注目だ。脇のチームメイトであるシソコ ドラマネ、拓殖大のジョフ ユセフ、大東文化大のバトゥマニ クリバリは先発出場で20分以上コートに立った。専修大のクベマ ジョセフスティーブのデビュー戦はファウルアウトとなったものの、彼らの成長具合が今後のチーム浮沈を担う1つの要因になることは間違いないだろう。
今振り返ってみても、昨年のインカレから相当長い時間が過ぎた。
東海大・陸川章コーチは、久しぶりの公式戦で「私もオフィシャル(テーブル・オフィシャルズ)でチェックの仕方を忘れちゃったくらいです」と笑いつつ、「まずは関係者の皆さんに感謝するとともに、こういうゲームができて良かったというのが正直な気持ちです」と感謝の言葉を述べた。
待ちに待った公式戦に臨んだ選手たちは、まだ感覚が取り戻せず本来のプレーができなかったという声が多い。だが、無観客開催だろうと、こうして戦友たちとも再開できた喜びを、感謝の意も異口同音に語ってくれた。
「(試合後に)留学生とも話したんですけど、『やっぱり楽しいよな!』って。無観客ですけどオンライン上で見てくださる方もいますし、改めて感謝の気持ちとバスケができる喜びを噛み締めました」(大東文化大4年・飴谷由毅)
「もちろん、そんな簡単に開催できることではないですし、たくさんの方々が支えてくれたおかげです。そこはすごく感謝したいですし、これからも思いっ切りプレーしたいと思っています」(東海大3年・大倉颯太)
文・写真=小沼克年
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