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令和元年のウインターカップを制したのは、前回大会覇者で今夏のインターハイも優勝した福岡第一高校(福岡県)。福岡大学附属大濠高校(福岡県)との「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」決勝戦で、最も輝きを放ったのは留学生のクベマ ジョセフ スティーブ(3年)だ。
この大一番では、河村勇輝(3年)のアシストから先制点を挙げたスティーブ。第1クォーターだけで12得点を記録すると、リバウンドでも4つのオフェンスリバウンドを含む6リバウンドをマークし、大黒柱としてゴール下に君臨した。
第2クォーター以降も得点、リバウンドでチームに貢献し、前半だけで19得点13リバウンドの“ダブルダブル”を達成。さらに同クォーターでは相手に4本のブロックショットを浴びせた。
連覇がかかる福岡第一は、粘る福大大濠の追いあげを振りきり最終スコア75-68で勝利。40分間フル出場を果たしたスティーブのスタッツは、試合終了時点で31得点20リバウンド、さらには11ブロックに達していた。
「今日はしっかりと100パーセントの力を出せました」
試合後、白い歯を見せたスティーブ。決勝戦で見せた11本のブロックショットは「いろいろ教えてくれた井手口(孝)先生のおかげ」と話し、「ブロックもよかったけど、ディフェンスとリバウンドの部分もがんばりました」と試合を振り返った。
河村、小川麻斗(3年)とともに昨年から先発を務めたスティーブは、この2年間、数々の留学生たちとゴール下で肉弾戦を繰り広げてきた。この1年間では東山高校(京都府)のムトンボ ジャン ピエール(2年)、開志国際高校(新潟県)のジョフ ユセフ(3年)とのマッチアップが特に苦労したという。「東山のセンター(ジャン ピエール)。相手は手が長いし、ボックスアウトもするし走れます」
コンゴ民主共和国出身、日本語もこの3年間で上達し、今では問題なくチームメートたちとコミュニケーションがとれる。「3年生にはいろいろ教えてもらいましたね。ありがとうです」と、仲間への感謝を述べたスティーブ。
今ハマっている日本語は「言えないやつ」と最初は拒まれたが、「調子乗んなとか(笑)」と教えてくれた。
来年、福岡第一の大黒柱は2年生のキエキエ トピー アリにバトンを繋ぐ。「アリはミドルシュートが上手いです。あとリバウンドも強いしブロックショットも上手い。もっと体を作ってポストプレーをレベルアップしてほしい」
そう、後輩へエールを送った“日本一の留学生”は、次のステージで飛躍を誓いウインターカップを後にした。
「ハンドリングとかミドルシュート、3ポイントも上手くなりたいと思います」
文=小沼克年