2019.12.28

絶対的司令塔、河村勇輝が反省しきり「明日の決勝は3年間培ったものをすべてぶつけたい」

準決勝の東山戦、後半に入り本来のバスケを取り戻した河村勇輝 [写真]=伊藤 大充
バスケットボールキング編集部

 12月28日、「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は男子準決勝2試合が行われ、昨年の覇者で今夏の南部九州インターハイ優勝の福岡第一高校(福岡県)が東山高校(京都府)と対戦した。そのインターハイで福岡第一に接戦を演じたのが東山であり、交換大会ながら10月には福岡第一に土をつけている。それだけに接戦が予想された。

 この試合、スムーズにスタートしたのは福岡第一に見えた。しかし、東山のムトンボ・ジャン・ピエールの高さを意識するあまり、オフェンスのリズムを失う。また、「様子見で入ったところもあったので、中途半端なポジションになってしまった」と、試合後、福岡第一の井手口孝コーチが反省したディフェンスでチェックが甘くなったことで、東山の脇阪凪人、米須玲音の3ポイントシュートを浴びるなどして、前半は38-28と東山のリードで折り返した。

前半、河村も東山のムトンボ・ジャン・ピエールの高さに苦しんだ [写真]=伊藤 大充


 追い込まれたかに見えた状況の中、「まだ38失点。前半のペースを修正するために、第2クォーターの終盤から繰り出したオールコートのプレスを継続させて、足を止めないバスケに切り替えた」(井手口コーチ)が奏功して、後半は福岡第一が怒涛の反撃を見せる。終わってみれば、71-59と2桁リードを奪っての逆転勝ちとなったが、試合後、ゲームをコントロールする立場であるポイントガードの河村勇輝は反省しきりだった。

「前半は攻防両面でチームに迷惑をかけました。後半はチームのエースとして、そしてキャプテンとして『自分がやらないと』と。技術的なものより、気持ちを入れてプレーをしたつもりです」

 その言葉通り、逆転の原動力となったのは河村の突破であり、シュートでもあった。第4クォーター、勝負を決める場面でステップバックの3ポイントを決めた後、珍しく吠えた河村。実はその前のプレーで井手口コーチに怒られており、「それを挽回するためのここ1本のシュートでした」と明かしてくれた。

 いよいよ明日は高校生で最後の試合を迎える。

「3年間、自分としては可能な限りバスケットと向き合ってきました。(高校生として)最後となる明日の決勝では3年間培ったものをすべてぶつけたいと思います」

 河村の言葉にはゆるぎない覚悟が感じられた。

文=入江美紀雄

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