2022.06.21
今春に大学を卒業し、Bリーグへ活躍の場を移した選手に大学時代を振り返ってもらうインタビュー企画、『新卒ルーキーが語る大学時代とこれからの未来』。
第4回は現在広島ドラゴンフライズでプレーする佐土原遼。高校時代全国大会名を馳せた名選手が集まる東海大学へ入学し、4年次のリーグ戦でMVPを受賞するまで成長した佐土原に4年間を振り返ってもらった。
インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年4月12日
――まずは東海大学へ進学を決めた理由を教えてください。
佐土原 僕の出身である東海大相模高校は東海大学の近くだったので、練習や練習試合をさせてもらっていたのですが、その時に陸川(章)監督が目をつけてくれて。当時は全然うまくなかったのですが、陸川さんに『これから成長するだろうから欲しい』と声をかけていただいたので、入学を決断しました。
――佐土原選手は1年次のトーナメントからベンチ入りしましたが、入学直後ながら出場機会を得られた要因は?
佐土原 ハードワークするところを見てもらえたのかなと思います。僕はハードワークや泥臭いことをやってなんぼの選手だと思っているので、そういうところが評価されたのかなと。
――高校バスケと大学バスケはレベルの差があると思いますが、どういうところに苦労しましたか?
佐土原 シュート確率ですね。高校生の時は40分間ずっと出ていたので(確率を)気にせずバンバン打っていたのですが、大学に入るとプレータイムが制限されますし、シュートの本数も限られてくる。それを決めることでプレータイムが増えるので、シュート力は壁だと思いました。
――確率を向上させるためにどんな練習に取り組んでいましたか?
佐土原 高校時代3ポイントシュートをあまり打ってこなかったので、3ポイントを打てるフォームではなかったんです。なので自分の打ちやすいフォームを見つける作業をして、1年生の終わり頃にはスムーズに打てるようになっていました。
――1、2年次はコンスタントに試合へ出場するも、3年次に新型コロナウイルスが感染拡大。具体的にどんな影響がありましたか?
佐土原 学校に入れないので練習やウェイトトレーニングができませんでした。部屋からもあまり出られなかったのでほとんど何もできない状況だったのですが、学生トレーナーの方が寮の一部屋をトレーニングルームにしてくれたんです。なのでそこでトレーニングしたり、マスクをしながら外を走ったりしていましたね。
――自粛期間中は体づくりに注力していたということですね。
佐土原 そうですね、自分のターニングポイントもそこだと思っていて。1・2年生の時は試合に出てはいたものの瞬発力などいろいろな部分で劣っていたので、自粛期間を使って自分のダメなところを補えたのは良かったと思います。
――3年次に先発へ昇格するも、4年次ではベンチからの出場が主になりました。
佐土原 春のトーナメントが終わって夏に入る頃、陸川さんから「セカンドで出てくれないか」と相談されたんです。スタメンは(八村)阿蓮(群馬クレインサンダーズ)や(大倉)颯太(千葉ジェッツ)、(河村)勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)が起用されて強いのですが、セカンドはどうしてもレベルが下がってしまう。スタメンが10〜20点差つけても、セカンドで追いつかれてしまうというゲーム展開が多かったのですが、自分がそこに入ることで強さが均等になりました。
――大学最後の大会であるインカレでは準優勝。試合が終わった瞬間どんなことが頭に浮かびましたか?
佐土原 いろいろなことを思い返していましたが、一番は(坂本)聖芽(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)に悪いことをしたなと。最後のインカレが一番大事だというのを話していて、その中で聖芽がインカレの初戦でケガをしてしまって……。本当に申し訳ないなという気持ちが強かったですね。
――東海大学で過ごした4年間で一番成長した部分は?
佐土原 コンディションの上げ方やダメなところを補うやり方だったりいろいろなことが挙げられますが、一番は陸川さんに教えてもらったメンタルの部分ですね。
――具体的にどういうところが成長しましたか??
佐土原 陸川さんはネガティブなことを本当に発さない人なので、チーム全体がポジティブに回っている感じがするんです。その影響で選手も基本ポジティブなことを発していたので、陸川さんは本当にすごいなと。
また、陸川家の教えとして『勝っても天狗にならず、負けても下を向かず』というのがあるらしくて。確かに波を作っちゃいけないし、負けて落ち込んでも次の試合があるので、教わったことはプロ生活でも生きています。
――印象に残っている対戦相手は?
佐土原 やっぱり筑波大学ですね。東海と筑波は大学バスケ界の2大巨頭と言われるほど強いチームで、陸川さんもライバル視していましたから。もちろん自分たちも負けたくないと思っていましたし、筑波大学戦の前はチーム全体がピリピリしていましたね。
――練習でキツかった思い出は?
佐土原 朝のラントレですかね。試合がない日に1周400メートルのグラウンドを3周走るのですが、400メートルってとにかく長いし、朝ということもあってキツかったです。もうやりたくないですね。陸川さんは「体力つくよ」と言っていましたけど、そんなことはありません(笑)。
――大学バスケを引退後、広島ドラゴンフライズとプロ契約を締結。3年次に特別指定選手としてプレーした広島と契約しようと思った理由は?
佐土原 無名の自分に声をかけてくれたのが広島で、自分をプロの道に連れてきてくれましたし、感謝の気持ちもあったのですぐに決めました。
あとはブースターの皆さんの存在も大きかったですね。コロナの影響で直接交流はできなかったのですが、SNSでメッセージをくれたりしたので暖かく見守ってくれていたんだなと。ブースターの皆さんと関係者に感謝の気持ちを込めて、広島でルーキーシーズンを迎えようと思って来ました。
――Bリーグでの手応えはどのように感じていますか。
佐土原 昨年はハンドラーだったので得点に絡むことが多かったのですが、今年はチーム状況が大きく変わったのでハンドラーになる機会はほとんどありません。オフェンスはキャッチ&シュートがメインになっていますが、自分の良さはディフェンスや泥臭い部分でハッスルすることだと思っているので。ディフェンスは通用していると思いますし、(オフェンスの)スキルを磨く必要があると感じています。
――プロとしての目標や目指す選手像を教えてください。
佐土原 3番(スモールフォワード)でも4番(パワーフォワード)でもできる選手になりたいと思っています。3番ならハンドラーになって、4番だったら体を張って外国籍選手を守る。両方できる選手はBリーグにいないと思いますし、そういう特別なことができる選手になりたいと思っています。
――最後に、大学入学直後のご自身にアドバイスを送るとしたらどんな言葉をかけますか?
佐土原 もっとパスの技術を磨いたほうがいいよ、と言いたいですね。大学の時は自分で得点を取れたのでパスする機会は多くなかったのですが、広島ではパスすることが多いので。ただパスしても相手にカットされてしまうので、どう出すかとかどういう選択をするかというのを考えないといけません。今はそれが劣っていると感じているので、大学生の時からやっておけばよかったと思っています。
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