2022.06.04
Bリーグ王者を決める戦い「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22」が12日に幕を開ける。熱を帯びたレギュラーシーズン以上に激しい戦いが予想される中、バスケットボールキングではチャンピオンシップMVPへのインタビューを実施。栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)で初代MVPに輝いた古川孝敏(現秋田ノーザンハピネッツ)に話を聞いた。
取材・文=バスケットボールキング編集部
ー栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)在籍時の2016-17シーズン、ファイナルで川崎ブレイブサンダースを下してBリーグ初代王者に輝きました。当時を振り返っていただけますか?
古川 5年前か……当たり前ですけど、まずは勝てたことがすごくうれしかったです。そして、個人的にもチャンピオンシップMVPを受賞できました。まさか取れると思っていなかったので、ビックリした反面、すごくうれしかった。チーム一丸となって戦って優勝でき、最高の瞬間が訪れました。
ーファイナルでは3本の3ポイントを含む21得点の活躍を見せました。MVPを意識していましたか?
古川 (ジェフ)ギブス(現長崎ヴェルカ)選手がすごく活躍していましたよね(※25得点9リバウンド2スティールを記録)。あまり気にしていなかったというか、発表された時は「そういえばMVPの表彰もあるんだ」くらいで(笑)。受賞できるとは思ってもいませんでした。
ーファイナルの舞台は国立代々木競技場第一体育館。10144人の観客が訪れました。
古川 両チームのファン・ブースターの方が半分ずつ埋まっていました。その中でも黄色いシャツを着た方がたくさん来てくれて、いつものホームコートではない場所でも、自分たちのホームゲームのような雰囲気を作ってくれました。ファイナルという雰囲気、試合前の演出などを含め、あの空間でプレーすることに対してすごく興奮した記憶もあります。試合開始前にフリーでシューティングする時間帯があるじゃないですか。あの時は震えるぐらいグッときたというか。感動ではなく興奮して、半分泣きそうでした。
ーBリーグ初年度のファイナルということで特別感もあったと思います。
古川 あの場所に立てることへの喜びやうれしさが大きかったです。勝てば優勝という場面にきたんだなと。長いレギュラーシーズンを戦い、チャンピオンシップもファイナルまで勝ち上がってきたわけですからね。興奮して、武者震いしていましたよ。
ー緊張はしませんでしたか?
古川 最後の試合ということもあってか、緊張という感覚はなかったです。目の前のことに対し、一つひとつ集中してできた気がします。
ー試合は4点ビハインドで迎えた第4クォーターに逆転。古川選手は試合終了残り1分7秒、リードを3点差に広げる貴重なシュートを決めました。試合終盤の戦いをどのように振り返りますか?
古川 かなり積極的だったと記憶しています。だからあのシュートも打ち切って、決めることができたのかなと。追いかける展開ではなく、どっこいどっこいの展開を繰り返し、常に拮抗した状況でした。「勝てる」という強い思いがあったというより、「負ける」という感覚がないイメージを持ちながらプレーしていました。負ける気はしませんでしたね。
ーリードチェンジが14回、同点が9回。最大のランが、川崎が8ー0、栃木が6ー0でした。
古川 8-0のランを許しても、点差が10点以上も開いていないと思います(※川崎の最大リードは6点)。試合の大半で点の取り合っていた記憶です。
ー大一番での強さについて、自分自身の中でどのように感じていますか?
古川 「やれるぞ」という自信があったより、僕自身は何か思い切ってやろうという思いのほうが強くて。これまで積み重ねてきたものがあり、チームとして作り上げてきたバスケットをプレーすることに対し、何の迷いもなくできました。結果的に勝てて、個人的な賞もいただきましたけど、終わった時、「自分たちがやってきたことは間違いじゃなかったんだ」と感じられるようなシーズンでした。勝つために準備してきたことをコート上で表現できたと思います。チームにフィットするためにも、自分の技術を磨くためにも、いろいろなワークアウトを重ねてきましたけど、自分が取り組んできたことは本当に間違いじゃなかったし、そういう努力は裏切らないなと感じました。
ーシーズン中を含め、田臥勇太選手を中心に優勝への思いがとても強いように感じていました。
古川 もちろん、どのチームもBリーグ初代王者になりたいと思っていたはずです。ただ、僕が栃木に加入したそれまでの3シーズンを振り返ると、1年目はプレーオフにギリギリ出られて、2年目と3年目はカンファレンスセミファイナルに進み、チームは少しずつステップアップしていたと思います。そして4年目、ファイナルまで進出し、優勝を勝ち取ることができた。僕が在籍した4年間という言い方になってしまいますけど、この4年間でチームとしてまとまり、すごく完成されたものになったと感じています。
ー当時のファイナルは一発勝負で勝敗が決しました。難しさはありませんでしたか?
古川 過去を振り返れば、3戦先勝で優勝を決めるJBL時代のファイナルでは、第5戦までもつれることがありました。そういう意味で勝ち切る強さ、相手にアジャストする力を求められました。Bリーグでは一発勝負になったので、だいぶ変わったと思います。どの試合でも同じですけど、1試合だけだからこそ、より強い思いを持って試合に臨んでいました。
ー昨シーズンから2戦先勝方式に変更された点を選手としてどのように感じますか?
古川 第1戦が終わった時点で、お互いが相手に対してどのようにアジャストしていくか。そこはチームの柔軟さや強さが改めて見えてくると思います。お客さんにとっては見ごたえがあるかもしれませんけど、選手はしっかりと準備しなければ、タフな試合になっていくでしょう。勢いで勝ててしまうこともあるので、そういった難しさはあるかもしれませんね。
ークラブ初のCSに挑みます。意気込みをお願いします。
古川 ファンの皆さんとともに熱く、秋田ノーザンハピネッツのバスケットを全力で琉球(ゴールデンキングス)にぶつけてきたいと思います。少し遠い場所にはなりますけど、会場に来てくださる方も、画面越しで応援してくださる方も、全力で、クレイジーに戦ってください。応援よろしくお願いします!
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