2022.03.02

【インタビュー】中山拓哉 秋田ノーザンハピネッツを率いる“ハードディフェンスの体現者”

秋田でキャプテンを務める中山 [写真]=秋田ノーザンハピネッツ
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Bリーグはいよいよ後半戦に突入する。秋田ノーザンハピネッツは強豪がひしめく東地区で着実に白星を重ね、19勝12敗で5位、チャンピオンシップ出場圏のワイルドカード2位につけている(※2月28日時点)。チームを引っ張るのは在籍6シーズン目の中山拓哉だ。「秋田で優勝したい」。強い決意を示すキャプテンに話を聞いた。

インタビュー=バスケットボールキング編集部
写真=秋田ノーザンハピネッツ、B.LEAGUE

ーシーズンは後半戦に突入します。まずは前半戦を振り返ってください。
中山 シーズン序盤はメンバーがなかなかそろわず、外国籍選手が足りない中で試合を行うこともあり、少し波があったと思います。いいゲームをして勝ったあとに大差で負けるとか、勝たなければいけない試合を自分たちのミスで落とすなど、もったいない試合も多かったです。19勝12敗の数字で見ても、もっと勝たなければいけなかったと思います。

ー相手の対策が厳しくなったのか、もしくは自分たちの中で気の緩みなどがあったのでしょうか?
中山 チームとしては常に全力で取り組んでいます。ですが、どこかで気の緩みが出てしまったり、チームとして一つになりきれていないなど、相手どうこうよりは“自滅”が多かったと思います。

ー手応えを得られた部分はどこでしょうか?
中山 自分たちの目指すディフェンスができ、それをいいオフェンスにつなげられている時間帯は、どこのチームとも戦えています。実際に上位チーム相手から勝利を挙げることはできました。

ー12月にはアルバルク東京に連勝しましたね。
中山 Bリーグ開幕後、上位チームに対してあのような連勝はなかなかありませんでした。チームとしてやりたいことができた結果、A東京から連勝することができました。あの2勝はチームにとって大きかったですし、雰囲気もすごく良くなりました。

ー前田顕蔵ヘッドコーチ体制は3シーズン目です。戦術の浸透度はいかがでしょうか?
中山 チームとしてやりたいことの軸は変わっていません。選手の入れ替わりも少なく、チームとしての共通理解が高まっていると感じています。

―前半戦は31試合中28試合に先発出場しました。個人のパフォーマンスについても聞かせてください。
中山 自分がスタートで出る意味を考えて、試合に臨んでいます。チームとしてディフェンスを主軸に置いている中、僕がそれを絶対的に見せなければいけないと思っています。また、同じ先発ガードの長谷川暢選手とは試合前、「僕ら2人のディフェンスが試合の強度を決めるから、僕らがスタートで出る意味を考えて臨もう」と話しています。

―2人がチームのディフェンスを引き締めるということですね。
中山 そうですね。最初のディフェンスが弱いと、試合全体を通じてファウルを吹かれやすくなったりして、試合の基準が自分たちのやりたいものではなくなってしまいます。「秋田のディフェンスはこうだ」と見せるために、僕らが積極的にプレーしなければいけないと思っています。

―今季は1試合平均5.5得点3.6リバウンド3.1アシスト1.3スティールを記録しています。スタッツに関してはいかがですか?
中山 正直、そこまで気にしていないですね。勝つことがすべてだと思うので、その中で自分がやるべきことをやればいいと思っています。スタッツに関して強いて挙げるなら、これまで確率の悪かった3ポイントシュートをより意識しています。(41.4パーセント※昨シーズンは25.6パーセント)

―今シーズン開幕前から3ポイントを意識していたのですか?
中山 はい。3ポイントがないと思われて、僕のところを捨てられてしまうのはチームにとってマイナスなことです。それを決めきれない自分が悪いと思っていたので、これまでよりも積極的に練習しています。試合中も「打てる時は打とう」という意識が以前よりも強くなっていますね。

3ポイントシュートの向上に努めている [写真]=B.LEAGUE

ーチームの3ポイント成功率はリーグトップの38.7パーセントですね。
中山 ジョーダン・グリン選手や古川孝敏選手、田口成浩選手などのシューター陣が確率良く決めてくれています。チーム全体としていかにフリーな状態で3ポイントを打つかを考えているので、その結果が数字に出ているのはいいことだと思います。

ー今シーズン、テーマとして掲げていることはありますか?
中山 チームとして優勝を狙っていく中、自分自身に何ができるのかを考えて取り組んでいます。テーマで言うなら、ディフェンスの部分で誰にも負けないこと。相手が日本代表選手であろうと、外国籍選手であろうと、僕が守らなかったらダメだと思っています。あとはシュートの部分で高い確率を残せるように、練習から取り組んでいます。

ーディフェンスが自分自身の武器になったのはいつ頃からですか?
中山 東海大学がディフェンスをしっかりやるチームだったので、大学生の時に意識が変わりました。あとは2017−18シーズンから指導を受けたペップ(ジョゼップ・クラロス・カナルス)HCとの出会いも大きかったですね。基本的にそれまでは、日本人は日本人、外国籍は外国籍を守っていましたが、ペップHCはいろいろな選手を守らせてくれたんです。そこで成功体験ができたことで、自信を持ってディフェンスできるようになりました。

ーディフェンスの楽しさを感じる場面は?
中山 ディフェンスが嫌だと思ったことはないですね。いいディフェンスをして、スティールできたら、イージーバスケットでチームに2点を加えることができます。そういったところも含めてディフェンスは好きですし、プライドを持っています。過去にスティール王を受賞しましたけど、それも一つの自信につながっています。

ーいよいよ後半戦が始まります。重要になってくることを教えてください。
中山 40分間やり続けることです。一つのクォーターでいい時も、悪い時もあって、悪い時間帯で点差をつけられて負けてしまうことが多かったです。オフェンスがうまくいってない状況でも、ディフェンスで守りきれば点差は離れないので、誰が試合に出てもチームとして40分間やり続けたいですね。

保岡龍斗選手は「ターンーオーバーを減らしていきたい」と言っていましたが。
中山 攻めたミスは仕方ないと思いますが、消極的なミスがまだまだあります。いいディフェンスをしたら負けないかもしれませんが、同時にいいオフェンスをしなければ試合には勝てません。ターンーオーバーの多さに関してはみんなが感じていると思うので、少しでも減らしていきたいですね。ただ、試合で起こる出来事で、個人のミスなのか、チームのミスなのかもにもよるので、よりコミュニケーションを取り、試合に出ている5人が同じビジョンを持ってプレーしていきたいです。

ー2月は予定されていた試合が中止となりました。この1カ月間でどのようなことに取り組みましたか?
中山 練習で人数がそろわないなど、チームとして難しい状況もありました。ですが、約1カ月空いたことで、自分たちのオフェンスやディフェンスの基礎をもう一度見直し、練習に取り組むことができました。いい期間を過ごすことができたと思います。

ー今シーズンは開幕前にクラブと3年契約を結びました。秋田への思いを聞かせてください。
中山 僕がプロデビューできた地で、チームが一緒に成長しているのを肌で感じています。さまざまなことを経験しましたが、「秋田で勝ちたい」という思いが強いです。それは応援してくれているパートナーさまやファン・ブースターの皆さんも同じだと思います。B2に降格して、B1に昇格して、今は東地区で上位を争う位置まで上がっています。成長の過程がすごく楽しいと思っていますよ。

“クレイジーピンク”と評される秋田のファン・ブースター [写真]=B.LEAGUE

ー昨シーズンからキャプテンを務めています。
中山 在籍年数が長くなり、責任感が増してきています。今年一緒にキャプテンを務めている古川選手がチームへの声掛けをやってくれているので、僕もそれに続かなければいけません。話すのは苦手ですけど、常に全力で戦うプレースタイルで引っ張っていきたいですね。

ー個人としての目標を聞かせてください。
中山 秋田で優勝したいです。いいことも、悪いことも経験してきましたが、やはり頂点に辿り着きたいという思いが強いです。

ー中山選手を日本代表に推す声も聞こえています。
中山 ファン・ブースターの皆さんがそう言ってくれるのはすごくうれしいです。「中山選手に日の丸を背負ってほしい」ともっと思ってもらえるように、今後も頑張っていきたいです。

ー熱血なファン・ブースターは選手にとって心強い存在だと思います。
中山 本当に頼もしいです。今は声を出して応援できませんけど、アウェイにも来てくれて後押ししてくれています。僕はファン・ブースターの皆さんを“チームメート”だと思っています。彼らは僕らの強みでもあると思うので、結果で恩返ししていきたいです。

ー後半戦への意気込みをお願いします。
中山 上位陣との難しい試合に勝つのが当たり前にならなければ、上にはいけないと思います。僕たちにとってはいいチャレンジだと思うので、勝利のために全力で戦っていきたいです。これからは一つひとつの試合、一つひとつのプレーがより重要になってきます。ファン・ブースターの皆さん力を借りて、後半戦も戦っていくので、応援よろしくお願いします。

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