2022.10.14
大学日本一を決める「第72回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」男子決勝戦は、大会連覇がかかる筑波大と2年ぶり6度目の優勝を狙う東海大学が激突。結果は第2クォーターから徐々にリードを広げた東海大が、75-57で筑波大を退けた。
わずか3点リードで第1クォーターを終えた東海大だが、第2クォーターは開始から松崎裕樹(2年)が連続3ポイントを沈めて一歩リードする。同クォーター終盤には八村阿蓮(3年)がバスケットカウントを奪って2ケタ点差とし、それで得たフリースローの場面では佐土原遼(3年)がオフェンスリバウンドから加点。この10分間を23-14とし、12点リードで前半を終えた。
東海大は佐土原が両軍最多の18得点、八村がそれに次ぐ16得点と攻撃ではインサイド陣が奮闘。ディフェンスでは時折、山口颯斗(4年)と二上耀(3年)の1対1に手を焼いた場面もあったが、津屋一球(4年)、大倉颯太(3年)を中心に何度もハドルを組んで修正を図った。陸川章ヘッドコーチも「第2クォーターから少しずつディフェンスで流れを作れたことが良かったです」と、主に守備面を評価した。
それでも、昨年のインカレでは専修大学に敗れて屈辱を味わっただけに、自身2度目となるインカレ優勝の喜びはひとしおだっただろう。大倉はこの1年をこう振り返った。
「一番成長できたのは責任感です。コート上とコート外での責任感を千葉ジェッツで学んだり、チームにいる中でも学んだりしました。同じ方向を向いていないとチームは強くならないですし、特に今年のチームはみんなが違う方向を向くと本当に分かりやすいくらい、いい流れにならなかったです。そこをキャプテンはじめ4年生と一緒に同じ方向を向くように言ってきましたし、常に目標をブラさずにタフな毎日を過ごすことができました」
まだ3年生。来年も東海大のリーダーとして大学バスケ界をリードしてほしい。
今大会、山口颯斗は筑波大のエースであり続けた。6点差で競り勝った2回戦の中京大学戦では終盤に7得点を挙げ、次の専修大戦では足を負傷しながらも必死にプレーを続けて22得点。この試合のクラッチタイムでも自らの得点で勝利を呼び込んだ。準決勝と決勝でも、一見強引とも思えるような迫力あるアタックでチームを引っ張り、大会得点王と敢闘賞を受賞。東海大との決勝では「公式戦で初めて足をつった」ほど満身創痍であったが、準々決勝で負傷離脱した菅原暉(4年)の分まで声を張り、懸命なプレーで後輩たちに背中を見せた。
来年、そのエースの座を引き継ぐのは二上耀だ。今大会は控えからの出場だったにもかかわらず、山口とともに準々決勝と準決勝ではここ一番でのシュート力を発揮して準優勝の立役者となった。「プライベートでも仲がいい後輩」という菅原も、「今大会でもクラッチタイムでシュートを決めてくれましたし、今回悔しい思いをした分、来年やってくれると思います」と期待を寄せる。
二上自身、昨年のインカレはケガで出場することができず、優勝したチームとは裏腹に1人悔しさが残った。「『自分がいなくても優勝できるんだ』というのが悔しくて、ちょっとメンタルがやられた時もありました」。だが、その間に取り組んだシュートフォームの改善が、今のシュート力向上につながっていると二上。
「大会前の練習試合は積極的にプレーできず迷っている部分がありました。でも、インカレを通して積極性が出せたので、そこは吹っ切れたと思います」
筑波大は引き続き“打倒東海大”の最有力候補と言えるだろう。まだシーズンが終わったばかりではあるが、来年もこの2チームの対戦を楽しみにしている。
文・写真=小沼克年
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