7月28日に幕が開けた「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。サンアリーナせんだいでの男子1回戦、北陸高校(福井県)vs船橋市立船橋高校の好カードは、その期待を裏切らない熱戦となった。
大事な初戦ということもあり、互いの指揮官が「硬さがあった」と指摘したが、北陸は第1クォーターからベンチスタートの米本信也(2年)が連続3ポイントを決めるなどでオフェンスをけん引。対する市立船橋は、外のシュートだけでなく持ち前の速い展開で速攻を随所に繰り出して北陸についていった。
北陸は5点リードでスタートした後半開始早々、連続得点を挙げて突き放しにかかる。だが、市立船橋は田中晴瑛(2年)、和田将英(3年)が立て続けに長距離砲を沈めて逆にリードを奪った。第3クォーター残り3分33秒、北陸のダンテ・スレマニィ(3年)が4つ目のファウルを犯してベンチへ下がるも、代わって入った松山魁武(2年)がインサイドで踏ん張ってシーソーゲームは続く。
試合は最終クォーター残り3分を切った時点で84-84。そこから北陸は、コートへ戻ったダンテと米本の連続得点もあり、同1分13秒で2点をリードした。すると同48秒、ここまで不調だったエースの髙橋颯太(3年)が値千金の3ポイントを突き刺して91-86。タイムアウト後、市立船橋はセットプレーからフリーの状態で田中が3ポイントを放ったが、これはリングを弾き万事休す。最後まで息詰まる試合は、最終スコア91-86で北陸が制した。
北陸はこの試合、2年生の活躍が光った。スターターの小川翔矢が19得点、控えポイントガードの土家拓大が17得点、米本は8本中6本の3ポイントを決めて両軍最多となる計24得点をマークした。
「選手全員の頑張りを称えたいと思いますし、ベンチメンバーもスタンドもチーム一丸となって戦えたのは非常に大きいなと思います。3年生にはもっと頑張ってほしいですが、3年生がベンチですごい声を出してくれていたのですごく心強かったです」
そう試合を振り返ったのは、北陸の重野善紀アシスタントコーチ。船橋市立習志野台中学校出身の米本には、試合前に「自分の故郷を離れて福井まで来たからには、地元のチームに負けてられねえぞ」と発破かけたという。一方の米本も、「地元には負けたくなかったので、朝から燃えていた」ようだ。
明日へ向けては「最近勝ててないですが、高校生ですから何が起こるか分かりません。謙虚な気持ちで、でもどこかで『やっつけてやるぞ!』という気持ちで、チャレンジしていきたいなと思います」と、重野善紀AC。
第一関門を突破した北陸。29日の2回戦は、同じ北信越ブロックの東海大学付属諏訪高等学校(長野県)と対戦する。
文=小沼克年