2019.07.27

【インハイ女子展望】優勝候補筆頭は連覇を狙う桜花学園、初出場のれいめいは全国初勝利なるか

フリーライター

 今年度のインターハイはそれまでの58から51チームの出場となった女子。そのためか、顔ぶれは全国常連校が多く、初出場チームは地元・鹿児島代表のれいめい高校と香川県代表の高瀬高校のみとなった。それだけ厳しい予選を勝ち抜いた全51チームの戦いぶりはいかに。

 堂々第1シードを獲得したのは、シードの懸かった東海大会決勝でライバルの岐阜女子高校(岐阜県)を倒した桜花学園高校(愛知県)。平下愛佳、岡本美優(ともに3年)、江村優有、オコンクウォ・スーザン・アマカ(ともに2年)と、優勝した前回大会からスターターが4人残っており、そこにルーキーの平下結貴や2年生の前田芽衣らを加えた布陣はどこからでも得点が可能。その攻撃力だけでなくディフェンスでも強さを見せており、優勝候補筆頭に異論はない。ただ、桜花学園の初戦となる2回戦の相手は、小林高校(宮崎県)と市立尼崎高校(兵庫県)との勝者で、特に小林は九州大会で準優勝と点取り屋ガードのフェスタ―ガード・ヤヤ(3年)を中心に勢いのあるチームだけに、初戦から気の抜けない戦いとなりそうだ。

 他にも、左上ブロックには、四国覇者の聖カタリナ学園高校(愛媛県)や関東ベスト4の東京成徳大学高校(東京都)に埼玉栄高校(埼玉県)といった実力校がそろう。鵠沼高校(神奈川県)や四日市商業高校(三重県)をはじめ、機動力のある“脚”を自慢としたチームも多いため、どのチームも1回戦から激戦必至は免れないだろう。

昨年からの主力が多く残る桜花学園[写真]=田島早苗

 左下ブロックは、北信越大会で優勝した開志国際高校(新潟県)、北海道を代表する名門・札幌山の手高校に近畿大会準優勝の大阪桐蔭高校(大阪府)らが中心。特に開志国際は、1年生の頃から主力を担ってきた山口里奈(昨年度U17女子日本代表)や木村真唯が健在で、小野寺佑奈(いずれも3年)を含めたアウトサイド陣がチームをけん引。勝負強さも持ち合わせており、上位進出の可能性を大いに秘めている。

 札幌山の手は、昨年のウインターカップでは、北海道予選で敗れたため不出場。1年ぶりの全国大会で暴れたいところ。また、インターハイでは2年連続でベスト4となっている大阪桐蔭高校(大阪府)もエドポロ・アニイタ、祢冝菜々葉(ともに3年)ら昨年から主力の2人を中心に3年連続となるベスト4入りをまずは目指したい。さらには、東北大会準優勝の明成高校(宮城県)や松岡木乃美(3年)を中心にタフなディフェンスを見せる浜松開誠館(静岡県)らの戦いにも注目で、加えて地元代表として初めて全国大会出場を果たした、れいめい高校の全国初勝利なるかも気になるところだ。

開志国際は第3シードから虎視眈々と初優勝を狙う[写真]=田島早苗

 右上ブロックは、関東大会を制した昭和学院高校(千葉県)、一昨年大会は優勝、昨年大会も準優勝という成績を残している岐阜女子高校(岐阜県)が一歩リードか。

 昭和学院は、170センチ後半から180センチ台の選手が主力に多く、高さでは群を抜く。関東大会では苦しみながらも優勝を勝ち取り、選手たちにも大きな自信となった。花島百香、田嶋優希奈といった1年生たちが関東大会で場数を踏んだことも好材料となっている。

 一方の岐阜女子も、東海大会では決勝で桜花学園に敗れたものの、安定した強さを発揮。昨年のU17女子ワールドカップを経験した絶対的司令塔の藤田和(3年)を中心とした攻撃は精度が高く、センターのイビエスタ・チカンソ(2年)をメインに得点を重ねていく。伝統ともなっている堅いディフェンスはもちろんのこと、林真帆、佐藤ももといった最上級生たちの踏ん張りもチームを支えている。

 この2チームの対抗馬として期待されるのがエース高橋未来(3年)を擁し、中学時代のキャリアもある京都精華学園高校(京都付)に東北大会を制した湯沢湘北高校(秋田県)、そしてスタミナ勝負の足羽高校(福井県)ら。持ち味を発揮すれば、2強の壁を破ることも可能だ。

昭和学院は岐阜女子との対戦が山場か[写真]=田島早苗

 昨年のウインターカップで準優勝となった大阪薫英女学院(大阪府)が第2シードに位置する右下ブロックは、九州大会優勝の精華女子高校(福岡県)に石川県予選で昨年ウインターカップ4位の津幡高校を破って出場を果たした鵬学園高校、四国大会準優勝の高知中央高校(高知県)に関東大会準優勝の明星学園高校(東京都)と、強豪校が多くひしめいている。

 高さがあり、キャプテンの森岡奈菜未や福田希望、塩谷心海といった3年生がどっしりと構えている近畿女王の大阪薫英がややリードしているが、予断を許さない状況。大阪薫英は、初戦(2回戦)で明星学園と高岡第一高校(富山県)との勝者と対戦するため、いきなり山場を迎えることとなる。というのも、明星学園は得点源のオドボ・エンデュラス(3年)が昨年の大ケガから復帰。関東大会では本調子ではなかったが、彼女の調子が上がれば、チーム力もさらにアップするだけに、その力は未知数。変則的なディフェンスも持ち合わせており2回戦で対戦することとなれば、大阪薫英も簡単には勝たせてもらえないだろう。

 また、このブロックは、抜群の攻撃力を誇る精華女子の三浦舞華と樋口鈴乃に180センチながら3ポイントシュートの確率も高い鵬学園の山口奈々花(いずれも3年)といった全国トップクラスのエースたちも名を連ねており、ポイントゲッターの出来が勝敗を左右しそうだ。

大阪薫英は初戦から手強い相手を迎えることが予想される[写真]=三上太

文=田島早苗

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