「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が開幕。初日の女子1回戦では、今大会注目選手である知名祐里(3年)を擁する西原高校(沖縄県)が登場し、初出場の千葉経済大学附属高校(千葉県)と対戦した。
対する千葉経済大附は、初出場とはいえ、すでにインターハイには6回出場。ウインターカップ千葉県予選でも決勝で名門の昭和学院高校を破り、千葉県を制して大会に臨んでいた。その実力あるチームとの試合は、出だしこそ西原が得点を連取したものの、第1クォーター中盤に追い付かれると、そこからはシーソーゲームとなる。
それでも西原は小気味よいパス回しからシュートチャンスを得るのだが、「シュートが入らないと…」と崎浜秀勝コーチが振り返ったように、ミドルシュートや3ポイントシュートがことごとく外れ、千葉経済大附を引き離せない。逆に千葉経済大附の優博美(3年)に177㎝の高さを生かした得点やリバウンド許すとじりじりと後退。「(得点が)50点台はうちの試合ではない」(崎浜コーチ)、と後半に入っても流れをつかむことができず57―70で敗れた。
試合後、「終始自分たちのバスケットができなかったことが悔しいです」と語ったのはガードの知名。U18女子日本代表メンバーでもある知名は、アシストの光る選手だが、緩急を付けた巧みなドリブルから相手を抜き去るドライブも得意とする。しかし試合では千葉経済大附の土屋奈緒子(3年)に絶妙な間合いで守られてしまい、「カットインから崩していこうと思っていたので、カットインができない分、苦しかったです」と、思うようにペイント内に切り込むことができず。その分、「合わせのプレーからセンターやフォワードの選手を使うようにした」のだが…、この試合は2ポイントのシュート確率が22.4%。チームとしてシュートに苦しんでしまった。
「最後なので楽しんでバスケットボールがしたいと思っていたので、どんな状況でも諦めずにやっていこう、周りにも声を掛けていこうとしていました。でも、内心はすごく苦しかったし、相手に押されている中で自分としても引いていたところがあったので、まだまだ弱いなと思いました」と、反省の弁を口にする知名。試合後、その目に涙はなかったが、その理由をこう語った。
「自分のプレーが出し切れて、『やり切った』というのだったら泣けたと思うし、悔しかったと思うのですが、チームのために何もすることができなかったので、泣けるかと言われたらそんな思いも…本当に何もできなかったので。自分のせいです」
この試合は知名にとっても全国大会を戦う難しさ、苦しさを感じた1試合となっただろう。それでも今後の話になると「こんな悔しい思いはしたくないので、全ての試合で自分の力を出し切れるようなプレーヤーになりたいですし、もっともっと自分の声かけや自分のプレーで流れを持っていけるような選手になりたいです」と、しっかりとした口調で発する。
来春から日本のトップリーグであるWリーグでプレーする。高校最後の大会は思い描くような結果は残せなかったが、この敗戦での経験がまた一つ、彼女を大きくさせてくれるに違いない。
文=田島早苗