2019.12.20

【大会展望】女子は桜花学園と岐阜女子が優勢、“2強”を打ち崩すのはどのチームか

 桜花学園高校(愛知県)と岐阜女子高校(岐阜県)の「2強時代」と言われる近年。ここ10年のウインターカップを振り返ってみると、桜花学園が5回、岐阜女子が2回、それぞれ頂点に立っている。しかしそれらはすべて「平成」の話。「令和」となって初の“ウインター女王”に名乗りをあげるのはどこか。出場校が昨年度までの50校から60校に増え、今年も激戦が予想される大会をブロックごとに展望してみたい。

 まずは左上のブロックから。強豪ぞろいのブロックだが、やはりインターハイと同校主体で臨んだ16歳以下の国体を制した桜花学園が一歩リードしている。エースの平下愛佳(3年)は得点、リバウンドでチームを引っ張るオールラウンダー。岡本美優(3年)、江村優有、前田芽衣といった才能豊かな選手たちが脇を固め、さらにナイジェリアからの留学生、オコンクウォ・スーザン・アマカ(いずれも2年)の急成長も見逃せない。3年ぶりとなる優勝を達成できるかに注目したい。

 対抗の一番手は精華女子高校(福岡県)。下級生の時からチームの主力として活躍した三浦舞華、その三浦とともに2ガードを組む樋口鈴乃(ともに3年)のコンビは今大会屈指のデュオと言っていい。さらに桜花学園が初戦で対戦する可能性の高い足羽高校(福井県)は伝統ともいうべき粘り強いディフェンスが信条のチーム。近年、高さがあった分、やや削がれていたその粘り強さが今年のチームには戻ってきた。桜花学園に対しても粘れるか、注目のカードと言える。またエース・山口里奈(3年)を擁する開志国際高校(新潟県)も侮れない。

過去2年はウインターカップ決勝の舞台にすら立てていない“女王”[写真]=佐々木啓次

 左下のブロックでは、まずインターハイベスト4の大阪薫英女学院高校(大阪府)に注目したい。高さにうまさと強さ、スピードもあるバランスの良いチームで、今年はディフェンスにも力を注いできた。オールラウンダーの森岡奈菜未、スコアラーの福田希望、そして泥臭いパートを担う塩谷心海の“最上級生トリオ”を中心に悲願のウインターカップ初優勝を目指す。

 またインターハイベスト8の西原高校(沖縄県)も必見のチーム。エースの知名祐里(3年)は独特のリズムから繰り出す1対1が魅力のポイントガードだ。ただし、同じブロックにインターハイで西原の敗れたチームが3チームも入っている。四日市商業高校(三重県)、埼玉栄高校(埼玉県)、聖カタリナ学園高校(愛媛県)の3校である。インターハイのリベンジに燃える各チームがどのようにチームを仕上げているか。また西原との再戦はあるのかにも注目したい。

初優勝へは森岡(右)の活躍が不可欠だ[写真]=兼子慎一郎

 右上のブロックは強豪チームがひしめき合うブロックだけに、どこが抜け出すかを予想するのは難しい。夏ベスト4の大阪桐蔭高校(大阪府)はポイントガードの祢宜菜々葉を中心に、センターのエドポロ・アニイタ(ともに3年)、2年生ながら得点力のある松川侑里香らがコンスタントに力を発揮できれば、優勝した2年前のようにメインコートに立つことも十分考えられる。

 ただし順当に勝ち上がれば、3回戦で前回大会ベスト4の津幡高校(石川県)と対戦する。津幡は今夏のインターハイこそ逃したものの、今大会注目選手の1人、センターの中道玲夏(3年)を擁する強豪校。アウトサイドにも小山里華(3年)など実力者がそろうため、一筋縄ではいかないだろう。

 インターハイベスト8の京都精華学園高校(京都府)は、エースガードの高橋未来(3年)に注目したい。スピードと得点力を兼ね備えた今大会屈指のポイントガードがどこまでチームを上位に導けるか。その京都精華学園も同じブロックには明星学園高校(東京都)や湯沢湘北高校(秋田県)など力のあるチームがいて、簡単には勝ち上がれそうにない。

大阪桐蔭のインサイドを支えるエドポロ・アニイタ(中)[写真]=佐々木啓次

 最後に右下のブロック。ここはインターハイ準優勝で、昨年度のウインターカップ女王でもある岐阜女子が抜け出しそう。173センチの大型ポイントガードの藤田和(3年)はパスセンスに長けた司令塔。前回大会はケガのため応援席から優勝シーンを見つめていただけに、今年に懸ける思いは誰よりも強いはず。パスのターゲットは高さのあるビッグマン、イベ・エスター・チカンソ(2年)らであり、キャプテンで3ポイントシューターである林真帆(3年)だろう。伝統のチームディフェンスとバランスの取れたオフェンスで連覇を狙う。

 ただし前回大会で桜花学園を破るなど勝負強さを見せた昭和学院高校(千葉県)や、近年着実に力をつけてきている浜松開誠館高校(静岡県)がいて、岐阜女子にとって気の抜けない戦いが連日続く。加えて、札幌山の手高校(北海道)、小林高校(宮崎県)も虎視眈々とメインコートを狙っている。今年の札幌山の手は絶対的な選手こそいないものの、チーム作りに定評があるだけに成長次第ではジャイアントキリングのチャンスも十分にある。小林はキャプテンで得点力もあるポイントガード、フェスターガード・ヤヤ・アマンドラ(3年)がどんなパフォーマンスを見せてくれるか。

夏のリベンジとともに冬の連覇なるか[写真]=佐々木啓次

 前評判通りにならないのがウインターカップの醍醐味の1つ。しかし、2強は2強でそう呼ばれるだけの練習を重ねており、意地や誇りもある。令和のウインターカップ“第1章”はどんな物語を紡ぐのか、楽しみである。

文=三上太

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