「令和元年度 第30回関東高等学校バスケットボール新人大会」にて、大会初出場を果たした神奈川県の東海大学付属相模高校。今年のチームでエースを務めるのは中野雛菜(2年)だ。
180センチのセンターとしてゴール下を支えるだけでなく、ディフェンスリバウンドから速攻へ駆け上がる走力もある。さらには「負けん気が強いのが一番」と指揮を執る大石宏志コーチが評価する逸材は、昨年、U18の日本代表メンバーとして「第27回 日・韓・中ジュニア交流競技会」に出場した。
高さで優位に立った関東新人大会初戦の⻯ヶ崎第⼆⾼校(茨城県)戦では、まるで試合を支配しているかのように37得点20リバウンドの大活躍を見せた中野。しかし、続く東京成徳大学高校(東京都)との試合では計23得点を挙げたものの、チームは48-88と大きく差をつけられてしまった。
その大きな敗因は第2クォーターにあった。東海大相模は6点ビハインドで迎えたこの10分間で、攻守に圧倒されて2-24。「自分が一番点を取って活躍しなきゃいけない」中野だったが、相手からより厳しくマークを受けると、本来のプレーをさせてもらえず影を潜めた。
「ディフェンスにベッタリつかれた時は全然自分のプレーができずに、正確な判断もできなかったです。県大会で留学生とマッチアップした時も同じような感じになってしまって……。対処法を考えられないまま関東大会に来て同じことを繰り返してしまいました」
自分の不甲斐なさを感じ、試合後は目から涙がこぼれた。「自分のせいで負けたと思います」
それでも、大石コーチは中野の涙を見てこう話す。「泣いてましたけど、負けることが肥やしになる。経験を積むことで、もっと自信をつけていってほしいです」
東海大相模が目指すのは、あくまで「全国制覇」(中野)。そのためにチームのエースは、センターだけにとどまらず「オールラウンドなプレーでガード陣を助けられるようになりたい」と意欲を高める。
「センターではなくオールラウンダーを目指しているので、相手に負けないようにこれからもウェイトトレーニングや走る練習を頑張ります」
「3ポイントも打てるようになりたい」と将来を見据える中野が憧れる選手は、現在、日本代表でも頭角を現している赤穂ひまわり(デンソーアイリス)だ。
近い将来、中野雛菜が赤穂とともに日の丸を背負ってプレーする姿を心待ちにしたい。
文=小沼克年