2年連続出場の市立船橋、OB・赤穂雷太とともに「千葉県に話題を届けたい」

2年連続19回目のウインターカップ出場を決めた市立船橋[写真]=小沼克年

キャプテン田中はポイントガードへコンバート

 10月24日、八千代松陰高校との「令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2020)千葉県予選会」2次ラウンド決勝戦。船橋市立船橋高校は最終スコア96−85で勝利し、2年連続通算19回目のウインターカップ出場を決めた。

 試合は第1クォーターから36得点を奪う猛攻を見せ、いきなり16点のリードに成功。「我々が準備してきた“市船らしさ”。攻守の切り替えの速さやディフェンス、ルーズボールが表現できました」(斉藤智海コーチ)と、結果的にこのリードを最後まで守りきった形となったが、第2クォーター以降は我慢の時間帯が続いた。

 その原因の1つはファウルトラブル。激しく当たるプレッシャーディフェンスの代償が第2クォーターから出始め、「ゲームプランが崩れ、そこで守りに入ってしまった」と斉藤コーチは言う。

 第1クォーターでは、バスケットカウントや3ポイントシュートを沈めて勢いを与えたキャプテンの田中晴瑛(3年)も、「試合の入りは良かったのですが、第2クォーターで受けに回ってしまったのが課題です」と反省。その田中の同クォーターの出来について、指揮官はこう振り返った。

「彼は責任感が強い選手なので、その責任感が彼の意識を“守り”にさせました。1クォーターは自分から点を取りに行ってるんですよ。でも、2クォーターで『チームを負けさせてはいけない』というキャプテンシーが出てしまいましたね」

 昨年から1人だけ先輩たちに交じり先発を担っていた田中は今年、キャプテン就任に加えポジションのコンバートを図った。スモールフォワードからポイントガードへ主戦場を移したことで、「昨年までは点を取ればよかったのですが、今年はそれだけではなくてチームを動かさなければいけない」と、今後も限られた時間の中で試行錯誤を繰り返しウインターカップに備える。

キャプテンであり司令塔の田中晴瑛がチームを引っ張る[写真]=小沼克年

市船OB・赤穂雷太も観戦とともに千葉県に話題を

「今までの先輩方が作り上げてきたディフェンスからの(ファスト)ブレイクに、今年はどこからでも点数が取れるのが武器」と田中が言うように、今年の市立船橋は昨年よりサイズでは劣るものの、全員が攻撃性を持ったプレーが特長だ。ウインターカップへ向け、斉藤コーチも「小さいチームなのでシュートチャンスは限られてくると思います。そのチャンスで決める力がないと昨年を超える結果は残せない」と気を引き締めた。

 今年はインターハイが中止となり、公式戦の経験が足りない中でのウインターカップ予選を強いられた高校バスケ界。千葉県予選は準決勝から千葉ジェッツのホームコートでもある船橋アリーナが舞台となった。

「ジェッツのメインコートは、子どもたちにとって特別な空間です」

 今回の取材中、そんな斉藤コーチの言葉が印象的であった。実際、地元出身の田中は「テンションが上がって多少は空回りしました」と口にしている。

 県内の選手たちにとって千葉ジェッツは地元の誇りであり、将来プレーすることを目標とする選手も多いだろう。そんな中、今年はうれしい出来事が1つ増えた。市立船橋OBの赤穂雷太がジェッツに加入したのだ。

 赤穂はこの日、同じ会場で16時から試合を控えていたが、先に行われていた決勝戦を観客席から観戦。優勝の瞬間に立ち会うと、試合後はフロアへ降り後輩たちにエールを送った。

「『頑張れよ』と雷太らしい小さい声で、優しく言ってくれました(笑)。選手にとってはモチベーションになったと思いますし、雷太もジェッツに戻ってきましたから、一緒に公立高校のサイズのないチームも千葉県に話題を届けられればいいなと思います」(斉藤コーチ)

 目標は、昨年あと1勝で行けなかったウインターカップのメインコート、その先にある「最終日、最終戦」だ。

市立船橋の指揮を執る斉藤智海コーチ[写真]=小沼克年

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