「この負けを抱えず、プラスにして次に進みたいと思います」。試合に敗れても、テーブス流河(2年)はすぐに前を向いていた。
兵庫県代表の報徳学園高校は、7月27日の「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」男子3回戦で仙台大学附属明成(宮城県)に敗れ、今大会を終えた。
「第1クォーターは自分たちが走って3ポイントを狙うことができていたんですけど、それ以降は相手のハリーバックも早くなって対応されてしまいました。3ポイントも気持ちよく打たせてもらえず、得点が止まってしまう時間帯が多かったです」
テーブスの言葉どおり、試合は序盤こそ4点差と拮抗。しかし第2クォーター以降はエンジンがかかった仙台大明成が主導権を握り続け、終わってみれば54−96と大差がついた。
今年の報徳学園は最長身選手が188センチと高さで劣る。その分、爆発的な得点力を持つテーブスの多彩なプレーと、シューター陣が積極的にシュートを放って得点を伸ばすスタイルだ。今大会の1回戦では40パーセント、2回戦でもチーム全体で39パーセントの3ポイントシュート成功率を記録して勝ち上がったものの、仙台大明成には22パーセントに抑え込まれた。
リバウンドでは23本もの差がつき、やはり相手の高さが上回った印象は否めない。それでもテーブスは、「それで負けたと言ってしまったら言い訳なので」と意志の強さをうかがわせ、こう続ける。
「自分たちはサイズが小さい分、外で補わないないといけない。1試合とおして40パーセント以上の3ポイントを入れることができれば、どの相手にも勝てると思うので、もっと安定力と大きい相手にも決められるようにしていきたいです」
1年次から先発を担っているテーブスだが、当時の3年生が抜けたことで内なるものにも変化があらわれた。2年生になった今年は、得点もさることならが一層コート上でのリーダーシップが強く、味方に対し感情をむき出しする場面も見受けられる。
聞けば、「(宇都宮)陸さん(現・京都産業大学1年)たちの背中を見たことで『来年は自分がやらないといけない』と思いましたし、そこが自分に足りてない部分とも気づけました」とテーブス。「『親は無くとも子は育つ』じゃないですけど、いい選手はしっかりと自分で目標を持っているので、私が成長を促したのではなく流河が自然と自分の行きたいレベルに行けるように取り組んでいます」と、田中敬コーチもテーブスの変化について明かす。
「自分の伸びしろに気づいた大会」。3試合戦った今回のインターハイを振り返り、テーブスはそう表現した。
ディフェンス、フィジカル、リーダーシップ、得意のオフェンスに関しても「まだまだ状況判断が分かっていない」と決して満足していない。「まだまだこれからバスケ人生長いので、ここでとどまらずにもっと努力して、自分のポテンシャルを最大限に生かせればいいなと思います」。
目標とする「全部できるポイントガード」になるべく、テーブス流河は歩みを止めない。
取材・文=小沼克年
写真=伊藤大允