3月28日から30日の3日間、東京体育館をメイン会場に「第31回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2018」が開催された。男子決勝は岡山県と東京都Aが対戦し、71-69で岡山が勝利。3年ぶり2回目の優勝に輝いた。最優秀選手には岡山の針間大知が輝いた。
男子決勝は女子決勝に引き続いて延長戦となった。第4ピリオド残り2分を切り、東京Aの14点リード。新井翔太、オドゲレル・トルガ、前田健冴らが超中学生級の個人技術で躍動し、齊藤翔吾が190センチの高さをいかんなく発揮した東京Aの優勝は決まったかのように見えたが、岡山はここからドラマを作った。
東京Aのフェイスガードで思うように得点が取れなかった岡山のエース、針間のジャンプシュートを皮切りに、岡山は6連続得点。針間は2分間で10得点をマークし、特に残り25秒、残り9.7秒と連続で決めた3ポイントシュートは圧巻だった。決勝トーナメント1回戦の福岡県戦でも、残り5秒で逆転シュートを決めたクラッチシューターは、「エースならどれだけ守られても点が取れる」という柄川祥コーチの期待に応える2本を沈め、雄たけびをあげた。
針間の得点力に加え、ディフェンスを含む総合力の高さも光った。特に印象的だったのが、相手がリバウンドボールを保持したあともボールに手を出す姿勢。柄川コーチは、180センチ超の長身選手がいないチームの生命線をこのように話した。
「跳ねたボールは見たら負け。ボックスアウトするのは当たり前で、さらにボールに対して足を使うようにと指導しました。トラップも行けたら行っていいと。相手に走られる怖さもありましたが、その分、オフェンスをしっかり作って得点を返せば大丈夫だと言っていました」
柄川コーチはその他にも、決勝点を挙げた森岡裕貴のつなぎのオフェンスや、東京Aの司令塔、新井の動きを封じた大長勇也のディフェンスを評価。針間もうまく得点が取れない時間帯は、自分にマークを引きつけてアウトサイド陣にパスを出すなど柔軟なプレーが光った。
予選リーグ、決勝トーナメントと大混戦ブロックを勝ちあがるごとに自信を増したスモールチーム。シャイな少年たちは持ちうる力をしっかり発揮して全国の頂点に立った後、ようやく控えめな笑顔を見せた。
文・写真=青木美帆