2月10日、男子バスケットボール日本代表の国際強化試合が北海道立総合体育センター(北海きたえーる)で開催された。
昨年9月22日に華々しく誕生したBリーグだが、日本のバスケットボール人気定着には、リーグの人気向上はもちろん、日本代表の強化と活躍は不可欠であり、この両輪が回ってこそ、野球やサッカーに肩を並べる存在へとステップアップできる。今回の強化試合は、5月から6月に予定されている第5回東アジアバスケットボール選手権大会に向けた重要な強化機会であるとともに、今秋から始まる2019年 FIBAバスケットボール・ワールドカップ予選に向けて、チームビルディングを行う貴重な機会である。
北の大地に迎えた強化試合の対戦相手のイランは、メッヘラン・ハタミヘッドコーチが「連れてきたかった選手の40パーセントくらい」と試合後に明かしたとおり、平均年齢が21.2歳と若手中心のメンバーではあるものの、FIBAランキング25位とアジアの強豪だ。同48位の日本にとっては格上の相手となるが、2019年W杯、2020年の東京オリンピックに向け、そして日本バスケットボールをけん引していくためにも、勝利は元より、質の高い試合内容が求められた。
試合は19時にティップオフ。日本はポイントガードに富樫勇樹(千葉ジェッツ)、シューティングガードに比江島慎(シーホース三河)、スモールフォワードに小野龍猛(千葉)、パワーフォワードにアイラ・ブラウン(サンロッカーズ渋谷)、センターに竹内公輔(栃木ブレックス)の5人がスターティングファイブに名を連ねた。ブラウンのシュートで先制した日本だが、ディフェンスのピックアップが遅く、プレッシャーも緩いため、アウトサイドのシュートを中心に得点を重ねるイランにペースを握られる。それでも、この流れを止めたのは学生から唯一選出された馬場雄大(筑波大学3年)だった。鮮やかなスティールからワンハンドダンクを叩きこむと、第1ピリオド終了間際にも再びスティールを決めて17-14の3点リードで終了した。
第2ピリオド、日本は、高さとスピードを活かしてローポストからゴールを目指すイランのインサイド陣に豪快なダンクを浴びるなど見せ場を作られたものの、オールコートプレスなどで相手のファーストブレイクをうまく抑える。ハタミHCが「30時間を超える長時間の移動があり、選手が万全ではなかった」と語ったように、足が止まり始めたディフェンスローテーションの遅れをうまく突くと、アウトサイドからのシュートがよく決まり、38-30とリードを保ったまま前半を折り返した。
第3ピリオドでも輝きを放ったのは馬場だ。素晴らしい読みと類まれなる身体能力を活かし、バックコートの高い位置でスティールを決めると、そのまま持ちこんでレイアップシュート。このイージーシュートをこぼすミスを犯したが、その後のプレーで再びスティールを決めて、鮮やかにダンクを叩きこみ、会場を大いに沸かせた。勢いに乗る日本は、疲れの見えるイランに対して徐々に点差を離し、この10分間を62-48とリードしたまま最終ピリオドに突入した。
アウトサイドが好調な日本は田中大貴、竹内譲次(ともにアルバルク東京)、比江島に加えてブラウンも立て続けに得点を挙げると、インサイドへの強引なカットインで食いさがるイランを寄せつけず、終盤は富樫がしっかりとゲームメーク。85-74で危なげなく逃げきった日本が2020年に向けた新しい船出を飾る貴重な白星を挙げた。
この日、17得点5アシストで日本のリーディングスコアラーとなった富樫は「これから東京オリンピックへ向けての戦いが始まると思うので、しっかりアピールしたい」と語り、今後待ち受ける厳しい戦いに対する決意を語った。
文=村上成