40分間の大半を5点前後のリードで推移し、最終的に6点差で勝利を収めた日本。韓国との第5回東アジアバスケットボール選手権大会の初戦は、試合開始から約3分間で9-0とスタートダッシュに成功し、そのまま逃げきった形となったが、相手の3-2ゾーンディフェンスと高確率の3ポイントシュートに苦しむ場面もあった。中でも危うかったのは、試合終了残り1分32秒に3ポイントを決められて73-72と1点差に迫られた場面だ。
タイムアウトを取った直後の勝敗に大きく関わってくる大事なオフェンス。ここで富樫勇樹(千葉ジェッツ)がジャンプショットを決めたことが勝利をぐっと引き寄せた。富樫はその少し前にフローターを外していたが、それでもルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチはタイムアウトで「ボードに自分のプレーを描いてくれた」と、富樫は言う。そして、その期待にしっかりと応えた。Bリーグのシーズン中も行われた合宿では、富樫が得意とするピック&ロールの精度向上を図るなど、チームの中で富樫は中心的な役割を担う立場になってきている。この試合ではファウルトラブルに見舞われ、第4クォーター残り7分42秒で4つ目のファウルを犯して一旦ベンチに下がった。この日の出場時間は22分6秒間。橋本竜馬(シーホース三河)が特にディフェンス面でしっかり役割を果たしたとはいえ、ベンチとしては富樫にもう少し長い時間を任せたかったというのが本音だったのではないか。
しかし、富樫本人はチームの勝利を強調する。「チームとして激しくやること、特にディフェンスのプレッシャーを大事にしているので、全員で時間をシェアしながら、出ている5人が常にハードワークするということで、自分がリーダーという感じではない。もちろん、出ている時はポイントガードとしてチームをまとめられればとは思う」と口にした。
あくまでも最優先は勝ち残ること。2020年東京オリンピックという目標に向かって「日本での開催も自分が生きている間にまたあるかどうかわからないし、現役のうちはこれが絶対に最後。必ず出たいので、そこまでに一つひとつクリアしてステップアップしていきたい」と、その決意は揺るぎない。
文=吉川哲彦