「自分の仕事」に徹した“3番手のセンター”永吉佑也「先輩たちから出番を奪えるように」

マカオ戦では12得点4リバウンドを記録した永吉[写真]=山口剛生

 前評判どおりに第5回東アジアバスケットボール選手権大会の予選ラウンド第2戦でマカオを大差で下した男子日本代表チーム。ただ、第1クォーターはディフェンスがソフトになり、決していい形で試合に入ったとはいえなかった。前日の韓国戦ではスターターが立ちあがりに試合を作ったが、この一戦ではベンチメンバーが試合の流れを変え、それが72点差の大勝に結びついた。

 規格外のダンクで会場のボルテージを上げた馬場雄大だけでなく、永吉佑也もその役割を十分に果たした。第2クォーター開始1分36秒にコートに立つと、最初のポゼッションで相手のファウルを誘うプレーを披露。与えられたフリースローを2本とも決めると、日本はそこから攻守両面でマカオを圧倒した。この10分間のスコア、31-6が示すように試合のすう勢はここで決したと言える。

 もっとも、本人は「流れを変えるというより『まずは自分の仕事をしよう』と。自分の仕事ができれば自ずといい流れになると思っていたし、自分は昨日出ていなくてフレッシュなので、試合に出たら思いきりやろうと思っていた」と、流れを変えることをことさら強く意識していたわけではなかったようだ。

 代表チームでは、太田敦也竹内公輔に次ぐ“3番手のセンター”という位置づけ。3ポイントシュートで追いあげられた韓国戦では出番が回ってこなかったが、決勝で対戦する可能性が高い中国は能力の高いセンターを擁し、インサイドの強さが最大の武器だ。ファウルトラブルなどが起きれば当然、永吉の力も必要になるはず。

「3番手ではあるが、ある意味では自分が最後の砦。3人とも倒れたらジャパンは終わりだと思うので、3番手だからといって準備を怠ることだけはしない」と、3番手に甘んじているつもりはなく、「いつでも先輩たちから出番を奪えるように」と語る表情には強い意志がにじみでる。速攻の先頭を走って得点を挙げたり、ボックスアウトで味方がリバウンドに飛びこむスペースを作ったりと、永吉は最後まで自分の仕事を貫いた。

 センターとしては高さがなくても、チームから求められた役割に徹しきれる永吉は、日本代表にとって想像以上に重要なピースなのかもしれない。

文=吉川哲彦

モバイルバージョンを終了