一目でコート上のどこにいるのかがわかる。その理由は実際のサイズ(身長200センチ)よりも大きく見える鍛えられた四肢によるものも大きいが、それよりも何でも吸収してやろうというオーラが中西の前面に出ていたからとも言えるだろう。
11月24日に行われるFIBAワールドカップ アジア地区予選フィリピン戦に臨むため、10月18日から行われた強化合宿にB2から唯一日本代表候補に選出された熊本ヴォルターズの中西良太。チームメイトやスタッフ、地元の関係者の期待を背負って意欲的に汗をかいた。
現在28歳の中西は高知中央高校、日本体育大学を経て、2011年にTGI D-RISEでプロのキャリアをスタート。その後は兵庫ストークス(現西宮ストークス)などでプレーし、2014年から熊本に在籍。昨季は1試合平均12.4得点5.3リバウンドを記録した。今シーズンは7試合すべてに先発し、1試合平均12.3得点6.0リバウンド6本を記録。
「自分のアピールポイントは日本のビッグマンより走れて、そして点が取れるところ。リバウンドはディフェンスだけでなく、オフェンスにも絡み、地味な仕事をこなしていきたい。代表では点を取れる選手がたくさんいるので、また違う部分でアピールしたいと思っています」
U18代表候補合宿に召集されたことはあるが、代表クラスでは初めて。「自分のチームとは求められることが違います。その中でいかにチームに早く溶け込み、チームのやりたいことを理解するか、ちょっと戸惑ったところもあったけど、少しずつだけど自分の動きを遂行することはできたかなと思っています」と、合宿の感想を語った。
「これまで外国人の指導者に教わった記憶がない」という中西は、フリオ・ラマスHCの指導スタイルに戸惑った部分があったという。
「教えていただいたのは非常にシンプルなことだと思いますが、スクリーンのかけ方にしても非常に細かくて、ちょっと意外でした。それに結構アクティブですね。圧倒される部分もあって、アドバイスを受けているのに常に怒られている感じでした(笑)」
「自分のチームと同じで4番(PF)ですが、役割は全然違います。チームではゴール下でのプレーが中心なのに、代表では4アウト1インのフォーメーションなので、外角からの攻撃が求められました。代表として国際ゲームで戦うには、どれだけ外のシュートが重要かというのが今回の合宿でわかったし、この部分に関してはまだまだ課題だらけなので一つ一つクリアしていきたいと思います」
初の3日間の合宿を終え、中西はチームに戻った。10月20日の愛媛戦では2点差で敗れたが、この経験をチームに還元していくことになる。さらに、「ただ選ばれただけでは意味がないので、最終選考に残れるようにしっかりやっていきたい。地元の皆さんに期待されている分、レギュラーシーズンでもしっかりやっていかなければいけないし、責任があることだと思っています」
代表合宿で得た新たな経験と刺激を胸に秘め、中西はこれからも成長を続ける。
文=入江美紀雄
写真=山口剛生