6月14日、前日から都内でスタートした男子日本代表チームによる第1次育成キャンプの模様が報道陣に公開された。
今回招集されたメンバーは、ワールドカップ予選を戦い抜いた35歳の太田敦也(三遠ネオフェニックス)以外はフレッシュな顔ぶれ。安藤誓哉(アルバルク東京)や橋本晃佑(栃木ブレックス)のBリーグ所属選手のほか、ノースカロライナ大学ウィルミントン校で今季平均8.8得点7.7アシストを挙げたテーブス海、IMGアカデミーに進学した田中力など20名がメンバーに名を連ねた。
公開練習に姿を見せたのは、日本の大学に通う4選手を除く16名。ヘッドコーチはエルマン・マンドーレ氏が務める。 若手中心のキャンプのため平均年齢は22.1歳だが、平均身長に目を向ければ195.4センチとサイズに恵まれた逸材たちが豪華に並んだ。また、16歳で202センチの身長を誇る山之内勇登(リベットアカデミー)、196センチでマサチューセッツ工科大学へ進学予定の小川春太など「まだ世に広まっていない」(マンドーレHC)アメリカ出身の選手も多いことから、コート上ではコーチ陣を含め英語でコミュニケーションを図る場面が多く見られた。
練習が公開されたのは約2時間。選手たちはスタートから精力的に汗を流したが、ついリラックスしすぎてしまうと指揮官から容赦なく檄が飛ぶ。「ここは日本代表だ! いいディフェンスをして盛りあがるのはいいが、クロスオーバー(ドリブル)なんかで盛りあがるな」。
マンドーレHCは「サイズのある選手を集めて、こういった世代から少しでも上にあがれるように。新しい選手を発見してどんどんチャレンジしていきたい」と招集の意図を説明した。将来性豊かな金の卵を預かるのは、佐藤晃一パフォーマンスコーチも同様だ。
佐藤PCは以前NBAでアスレチックトレーナーやリハビリコーディネーターを務めた経験があり、パフォーマンスをアップさせるためやケガを防ぐ体の正しい使い方を指導するエキスパートでもある。
「NBAでも正しい体の動かし方をわかっている選手は少ないのですが、この合宿に参加しているメンバーの多くもわかっていません。ですから、ファンダメンタルなメニューを用意して、体の感覚を身に着けさせるようにするところから始めています。ただ参加者の年齢が太田敦也選手が35歳なのに対し、山之内選手は16歳と約20歳も違うので、全体練習の際はあまり負荷をかけず、個人練習で強度を調整するようにしました。身体能力の高い選手がそろっていますので、どのように育っていくのか楽しみです」 (佐藤PC)
日本代表は8月31日に開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」の前に、7月12日から「第41回男子ウィリアム・ジョーンズカップ」に出場予定だ。マンドーレHCは言う。「このメンバーから可能性のある選手はジョーンズカップにも出場してもらいますし、ジョーンズカップで良い活躍を見せた選手は次のワールドカップにも名前が挙がるかも知れません。なので、一つひとつの練習やキャンプがすごい大事ですし、(選手たちは)新しいチャンスだと思います」。
6月23日まで行われる同キャンプ。“育成”という位置づけではあるものの、まずはこの場でしっかりとアピールすることが代表定着への第一歩になることは間違いない。
取材・文=小沼克年