お手柄バスケ部キャプテンに周囲は「さすがだな。でも彼女なら当然のことをしただけ」

金崎さん(52番)が所属する大阪大谷大は「今年は『2部の上位へいく』という目標を持って日々練習に励んでいます」という[写真提供]=大阪大谷大バスケットボール部

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 すでにこのニュースはバスケファンならずとも見聞きしていることだろう。報道によれば、5月13日、練習を終えて自宅の最寄り駅に着いた大阪大谷大学女子バスケットボール部キャプテンの金崎真衣さんが、すれ違った男性の異変を察知。いったんは母親の待つ改札の方向に進んだが、気になって振り返るとその男性が線路に落下するのを見かけた。金崎さんはとっさに線路に降りて男性を抱え上げようとするも、それができないと判断すると駅脇の踏切まで男性を背負って走り無事救出。後日、その勇気ある行動に奈良県の高田警察署は金崎さんに感謝状を送った、というものだ。

 金崎さんは奈良文化高校時代、インターハイ、国体、ウインターカップ出場の経験を持つという。普段のキャプテンぶりを聞きたく、同部の顧問、小林未季代先生に問い合わせをしてみた。

「入学時からそうでしたが、普段から何に対しても常に120%の力を出して臨む選手です。ですので、この話を聞いた時、『さすがだな』と思うのと同時に『あの子なら当然のことをしただけ』という感想を持ちました。きっとこれは私だけでなく、彼女を知る部員たちなら同じように思ったはずです。勇敢な行動だったと思いますが、びっくりするような話ではないかなと」

 金崎さんはプレーではチームの縁の下の力持ち的な役割を担い、ディフェンスでは絶対的な存在だという。「レイアップシュートは決して落とすことがなく、リバウンドやルーズボールをさぼらないロールプレーヤー。まさにチームには欠かせない選手です」と、小林先生は語ってくれた。

 金崎さんにももちろん話を聞いてみた。小林先生が語ったように、自分としても特別なことをやり遂げたという雰囲気ではなく、逆に周囲の反応に戸惑いがあるようにも感じられた。

「母が非常ベルを鳴らしてくれていたので、その時は恐怖は感じませんでした。最初は男性を線路に上げようとしたのですがそれができず。でもそうなっても冷静にいられて、『踏切まで運ぼう』と、やれることを遂行しようと思いました」と振り返る。さらに、「そのように周囲を見る目はバスケットボールで養われたものかもしれません」とも語ってくれた。

 大学4年生でもある金崎さんは卒業後の進路を決める時期でもある。小林先生は「自分には厳しいけど、周りには優しい子です」と評価。金崎さん自身も「人のために働く警察官に応募しようと思っています」と、今回の一件が自身の将来を決断する大きな事柄となったようだ。

文=入江美紀雄

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