8月24日に駒沢オリンピック公園総合運動場で幕が開けた「第95回関東大学バスケットボールリーグ戦」の第1節。初戦の日本大学戦で専修大学の流れを変えたのは、ルーキーの喜志永修斗だった。
第1クォーター、専修大は相手スコアラーの杉本天昇(3年)を中心にアウトサイドのシュートを決められ、同クォーター残り3分で9-19と先手を取られた。
「松脇(圭志/4年)と杉本に、2人合わせて35点以上取られるようだと相手のペースになる」。そう試合前から想定していた佐々木優一ヘッドコーチは、ここでタイムアウトを請求。1年生ガードの喜志永をコートへ送りこんだ。
「HCからは天昇さんを抑えてほしいと言われました。自分がコートに出た時は、アグレッシブにディフェンスすることを求められているので、それを遂行できたことはよかったです」
その言葉どおり、喜志永は自身の強みでもあるフィジカルを活かして杉本にプレッシャーを与えると、日本大にミスが出始める。その間、専修大は西野曜(3年)、アブ・フィリップ(4年)の速攻などで反撃し、同クォーター終了時点で18-19と五分に持ちこんだ。
前半は3点ビハインドで折り返したものの、後半に入ると自分たちのペースを取り戻した専修大。喜志永はディフェンスだけでなくオフェンスでもチームを引っ張った。ポイントガードとして味方へ指示を出し、逆転に成功すれば無理して速い展開にせずにペースダウンを図る。行けると判断すれば自らゴールへアタックする姿勢を見せ、約21分間の出場機会を得て5得点を記録。チームの逆転勝利に貢献した。
最終スコアは72-56。試合後、佐々木HCは喜志永について「1年生ですけど、リーダーシップを発揮してコントロールしてくれたのですごく助かりました」と称え、こう続けた。「彼とは練習中から積極的にコミュニケーションとっています。流れが悪い時には何をコールすればいいのか、どうオフェンスを展開すればいいかなどをすごく考えてくれてますし、指示をしなくても私がやってほしいことを展開してくれます」
一方の喜志永は、ディフェンスで一定の手応えをつかんだものの、「途中でコントロールできていなかったり、自分としてはまだまだです」とオフェンス面では反省の弁。ルーキーらしからぬ堂々としたプレーで存在感を示したが、高校時代のように、大学でも「点が取れるポイントガード」になるには、課題を一つひとつクリアしていく必要があるという。
「大学は、高校と違って一つひとつのプレーの細かさが違うので、もっとチームプレーの大切さを突き詰めていかないといけないです。個人的にも、ボールハンドリングや外のシュートをもっと強化しなければいけないと思っています」
チームの絶対的エースである盛實海翔(4年)に加え、友希、周希の重冨兄弟(ともに3年)らの豊富なガード陣に、ルーキー喜志永がどれだけ割って入れるのか。今後も注目したい。
文=小沼克年