第3クォーター残り4分を切った時点でスコアは35-55。
12月13日に行われた「第71回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」3回戦で、専修大学は大会連覇を狙う東海大学の前に劣勢に立たされていた。
しかし、そこから盛實海翔、アブ・フィリップ(ともに4年)を起点に徐々に点差を詰め、第3クォーター終了時点で12点ビハインド。「(第3クォーターは)流れがうちの状態で終えられました。海翔、フィリップの大黒柱が活躍しだすと、西野(陽/3年)も冷静になれる」(佐々木優一ヘッドコーチ)と、第4クォーターにはその西野がバスケットカウントと3ポイントを立て続けに決めて逆転に成功した。
今シーズンを締めくくる負ければ終わりのトーナメント。東海大も意地を見せ、試合終盤で71-71となるも、残り16秒時点で専修大ボール。
この場面でラストプレーを託されたのはエースの盛實だった。
「(みんなが)託してくれました。同点だったので、入る入らないにしても最後シュートを打って終われば試合は終わらない。なので思い切ってシュートを打ちました」
西田優大(3年)と完全に1対1の状態に入ると、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)を彷彿させる得意のステップバック3ポイントを突き刺し、決勝点をマークしてみせた。
最終スコアは74-71。盛實が得意とするプレーなだけに、最後の場面は最初からステップバックで打つつもりだったかと試合後に聞くと、盛實はこう答えた。
「その場の判断、ディフェンスの出方次第でした。相手も5ファウルでファウルもらえればフリースローだったので時間を使い切るというのと、相手の出方を見てドライブするのか、シュートを打つのかという感じでした」
東海大の陸川章HCも、相手エースの劇的弾には脱帽した。「盛実くんのあのクラッチタイムのビッグショット。彼は本物ですね」。
20点差をつけられようとも、最後まで諦めなかった結果が勝利を呼びこんだ。「自分たちが後半切らさずにやるべきことを遂行できました。負けたら終わりなので、自分たちのアタックしていく気持ちが点数にあらわれたと思います」と、盛實は大逆転勝利を振り返った。
「ベスト4を目指してやってきたわけじゃない」(盛實)。優勝まであと2つ。明日の相手は、今日の専修大と同じく逆転勝利(72-71)を収めた白鴎大学だ。
文=小沼克年