「第94回天皇杯・第85回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」を終えて、1月18日よりWリーグが再開した。
皇后杯6連覇を達成したJX-ENEOSサンフラワーズと対戦したのは、同大会の準決勝でJX-ENEOSに敗れた富士通 レッドウェーブ。そのリベンジに燃える富士通は第1戦、序盤から好スタートを切る。
山本千夏、篠原恵、町田瑠唯らの得点でリードを奪うと、193センチの渡嘉敷来夢、188センチの梅沢カディシャ樹奈と大型選手を擁するJX-ENEOSを相手にチームディフェンスが機能。容易に得点を与えず、そのまま第2クォーターも主導権を握り、47-21と大量リードを奪って前半を終えた。
対するJX-ENEOSは、梅沢や林咲希らが後半に奮闘したものの、前半でついた26点のビハインドは大きく、最後は富士通に86-64で逃げきられてしまった。
ここまで負けなしだったJX-ENEOSに黒星をつけた富士通。主力の身長ではJX-ENEOSに劣るものの「逆にオフェンスのアドバンテージを活かした」と、BT テーブスヘッドコーチが語るように、小さいからこそのメリットであるスピードやアウトサイドからの攻撃を効果的に決め、勝星をつかんだ。
しかし、翌日の第2戦は、前日とは立場が逆転したかのようにJX-ENEOSが出だしから先行。「昨日はソフトすぎたが、今日はアグレッシブにやってくれた」(佐藤清美HC)と、攻防において激しいプレーで富士通を圧倒すると、前日は出場がなかった吉田亜沙美も巧みなパスで味方のシュートを演出し、終わってみればJX-ENEOSが84-57で大勝した。
「(第1戦は)ゲームの入り方が悪かったし、相手に対するプレッシャーも少なかったです。昨シーズンのトヨタ自動車(アンテロープス)戦と同じで、負けて学ぶことは多い」と、昨シーズンの唯一の敗戦となった試合を引き合いに出したJX-ENEOSの佐藤HC。今回の敗戦が良薬となればと、先を見据えていた。
一方、第2戦こそ敗れたが、JX-ENEOSから価値ある1勝をもぎ取った富士通。テーブスHCは、「JX-ENEOSに勝つ可能性があることがわかり、JX-ENEOSの本当のパワーもわかった」と、2試合を総括。加えて、「一番強いチームを倒したことは、少し自信になったのではないか」とも語った。
1勝1敗と星を分けたこの対戦、両チームともに大きな収穫や課題をつかんだ2連戦となったようだった。
また、この試合は北海道の旭川市総合体育館で開催されたが、旭川といえば、富士通の町田、高田汐織の出身地。会場はさながら、富士通のホームゲームのようであったが、観客はJX-ENEOSの好プレーにも歓声を上げ、特に第2戦では、第1戦で不出場であったJX-ENEOSの吉田がコートに入ると、大きな拍手が沸き起こっていた。
取材・文=田島早苗