【PICK UP ROOKIE】JX-ENEOSサンフラワーズ・奥山理々嘉「早く成長したいという思いがあり、葛藤しています」

Wリーグ11連覇中のJX-ENEOSに入団した奥山理々嘉

 10月4日から幕が開ける第21回Wリーグ。各チーム、さまざまな強化を図り、本番を迎えることとなるが、ここでは今シーズンの注目ルーキーたちにクローズアップした。

取材・文=田島早苗
写真=新井賢一

■奥山理々嘉(JX-ENEOSサンフラワーズ/180センチ/68キロ/フォワード)

・生年月日:2000年4月6日生まれ
・経歴:鶴久保コスモス→坂本中→八雲学園高
・受賞歴:インターハイベスト8、ウインターカップ4位
・代表歴:U17W杯(9位・2016年)、U18アジア杯(準優勝・2018年)、U19W杯(8位・2019年)、アジア大会3x3(3位・2018年)

――JX-ENEOSに入団し、高校との違いを感じることはありますか?
奥山 一つ一つの練習に対する意識が高いですね。本当に細かいところまでしっかりとやるのですが、私は細かいところができていないので、毎日が精一杯。意識の違い、練習に対する姿勢、先輩たちを見て、毎日「すごいな」と感じています。

 今までは自分のやってることに自信を持ってコートに立っていたし、自分が引っ張る立場だったから、いい意味で余裕がありました。でも、今は新人で、できないことばかり。本当に全然レベルが違うことにビックリしていて、学ぶことがたくさんあります。今は日々奮闘。それを考えるとU19女子ワールドカップで上手くできなかったのも確かだったかなと感じています。まだ先輩に教えてもらったことを吸収して実行することができてないと思っています。

――大変そうではありますが、それは自分が求めていた環境でもあるのではないですか?
奥山 そうですね。学びたくて、成長したくて、強いチームで貢献したいと思ってJX-ENEOSに入ったので。厳しいのは分かっていたので、嫌だと思ったことはないです。ただ、思い切りの良さなど今の自分のプレーがいろいろと足りていないことが苦しい。スタッフからも先輩たちに少しでも付いていく、やられたくないといったような気持ちをコートに出すようにと言われていて、そういった一生懸命なところをもっと出していきたいです。

――ミニバスからこれまで、そのような状況は初めてでは?
奥山 今までは自分が試合に出るのが当たり前だったし、自分がメインのチームだったから、考えていなかったような動きや見方を知って勉強になっています。高校は割とフリーに動くチームだったので、スペーシングやナンバープレーでの動くタイミングなど分からないことも多く、一から学んでいます。ディフェンスでも速さのあるガードをマークすることもなかったので、本当に新しく学ぶことがいっぱいです。

――超えるべき壁がたくさん?
奥山 いい意味で伸びしろいっぱいです。

――超えないといけない壁は高いですか?
奥山 2つあって、一つはやるべきことをやる壁。例えばディフェンスのポジショニングとかガードに付く時の足の運びとか、そういった基本の動きです。できてないものは練習をして身に付けて、やれるようにすればいい。そんなに壁は高くないと思ってます。もう一つは、それをやった上で試合に出て少しでも活躍すること。自分の役割である点を取るとか、そういったことが二つ目の壁だと思っています。

――かつての先輩たちもルーキーイヤーで苦労してきました。
奥山 そうですよね。楽にやってきた先輩はいなくて、誰もが悔しい思いをして今があるということは聞いているので、だからこそ今を頑張らないといけないと思っています。今は、できない自分が悔しい。早く成長したいという思いがあり、葛藤しています。

――直面している壁を超えたら、また違った景色が見えるかもしれないですね。
奥山 絶対に楽しいと思います。今まで私は、伸び伸びやっているとか、楽しそうにバスケットをしているなどと言われていましたが、(学生時代も)下級生の時は上手くいかないこともいっぱいありました。JX-ENEOSでの1年目を経験して、いつでも最初の時期は大変なんだと思い出すことができました。

――先ほども話に出た7月末のU19女子ワールドカップでは、序盤はプレータイムも少なく、苦しんでいました。
奥山 チームは負けて悔しい思いをしました(8位)。ただ、いい経験ができました。自分が苦しい時にどれだけ自分がやるべきことを考えてやるか、プレータイムが短い中でどうやるか、あの時の経験は今に生きているので、苦しかったけれど、経験して良かったなと思っています。あの経験をしたからこそ、自分は弱いなと気づいた。できていないことで自分自身の心が折れている時が多く、最後は上手くできるようになったけれど、それはプレータイムを貰えたから。もし、貰えなかったらできていなかったと思います。

 自分を見つめ直す、自分の足りないこと全てが分かった大会でした。大会後に家族や恩師とも話をしたのですが、必ずしも全てが上手くいくわけではないし、頑張ったからって自分の思っているようにできるわけでもない。そういった時にどうモチベーションを上げられるかも大事だという話になって。そういった話をしてくれる周りの人に感謝したいし、応援に来てくれた両親にも恩返ししたいですね。

――今年の夏は充実していましたね。
奥山 本当に! 色んなことを吸収した期間だったので、それを今後どう生かすかだと思います。

――当面の課題は?
奥山 ディフェンスです。今までは4番ポジションでセンターに付くことが多かったのですが、今は3番。自分より小さいフォワードに付くことが多く、まずはディフェンスができないと試合にも出られないので、足を使って、なおかつ状況判断ができるようにしたいです。 それと、今、試合に出た時に貢献できることと言えば外からのシュートなので、オフェンスではそこを発揮していきたいです。

課題はディフェンスという奥山[写真]=新井賢一

――シーズンを前にして吉田亜沙美の現役続行のニュースが入ってきました。
奥山 復帰だけでもうれしかったのですが、それが同じチームで復帰ということで驚きです。少しでも一緒に練習して学びたいし、コートに一緒に立って勉強したいという気持ちが高まりましたね。それと、今でもまだ努力を続けていることにも偉大さを感じています。

――最後に今シーズンの抱負をお願いします。
奥山 ルーキーイヤーというのは、この1年しかありません。少しでもJX-ENEOSのファンの皆さんやバスケットファンの皆さんの前で一生懸命やる姿をお見せしたいと思います。今できることを頑張ってチームに貢献したいと思うので、応援よろしくお願いします。

 

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