今季初スタメンのJX-ENEOSサンフラワーズ・吉田亜沙美がゲームを掌握

速い展開を演出したJX-ENEOSの吉田亜沙美

「めちゃめちゃ緊張しました。緊張し過ぎて空回り。(ペースを)上げすぎちゃって3分ぐらいで失速しました(笑)」

 10月27日(日)の東京羽田ヴィッキーズ戦、今シーズン初のスタメン出場となったJX-ENEOSサンフラワーズの吉田亜沙美は、苦笑いをしながら試合を振り返った。

 昨シーズン終了後に引退を表明し、一時はバスケットから離れていた吉田。8月に現役続行を決意してからはコンディションを中心に調整を行っていたため、富士通との開幕2連戦もコートに立つことはなかった。

 それでも、続く新潟アルビレックス BBラビッツ戦で出場を果たすと、山梨クィーンビーズ戦でもバックアップのガードとして登場。すると東京羽田戦では初戦こそ途中出場だったものの、舞台を大田区総合体育館に移した2戦目では今シーズン初のスタメンに。吉田自身、昨シーズンは先発の座を藤岡麻菜美に託したため、スタメンともなると、2シーズン前のファイナル第2戦(2018年3月25日)以来となった。

 それだけに、「スタートはゲームを作る、流れを作らないといけないから本当に緊張しました。スタートで出ていた頃の緊張感が戻って来た感じです」と吉田。だが、本人の言葉とは裏腹に、試合では出だしから圧巻のプレーを見せる。

 開始38秒には挨拶代わりと言わんばかりに自らスティールからのドライブシュートを決めると、その後も激しいディフェンスで圧倒。オフェンスでも小気味よいパス回しから味方のシュートシーンを演出した。

試合開始前、コートに入った吉田には緊張した様子も見られた

 結局、トータルで約10分間出場し、7得点6リバウンドに加え、4アシスト3スティールをマーク。これまでも山梨戦で13アシスト(約9分出場)、東京羽田との初戦でも約14アシスト(約14分出場)を記録していたが、この試合では「チームオフェンスの中で私が最終的にシュートを打ったという感じだったけれど、行ける時は行こうと思っていた」と言うように3Pシュートにドライブにと得点面でもしっかりとアピールした。

 そんな吉田の当面の課題は体力。コンディションは「まだ半分ぐらい」と言い、さらに「ゲームの中でシュートを決め切る力は今ない」と、体力不足から来るシュート力も挙げた。

 とはいえ、チームメイトの渡嘉敷来夢が「リュウさんはまだ調子は半分と言うけれど、100%と言ってもいいぐらい」のパフォーマンスを発揮し、開始約3分でゲームを掌握した吉田。

「皇后杯や(12月に再開する)Wリーグでもこれから上位チームに当たっていくので、スタートに慣れていかないと」と日本が誇る司令塔は、目標である東京オリンピック出場に向けて、着実に歩みを進めている。

持ち味でもあるハードなディフェンスで相手を苦しめた

写真・文=田島早苗

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