『Welcome back』
実に2大会、4年ぶりの女子アジアカップ出場となった渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)。彼女に対し、大会を主催するFIBA(国際バスケットボール連盟)は、SNSなどを通じて何度もこの言葉を用いた。
女子アジアカップを3連覇中の女子日本代表。2013年の優勝とリオデジャネイロ・オリンピック出場を決めた2015年の2連覇は、いずれも渡嘉敷がポイントゲッターとして活躍。アジアで大きな存在感を放っていた。
だが、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック以降、渡嘉敷はWNBAに専念やケガなどの影響で2017年の女子アジアカップ、そして2018年の女子ワールドカップを欠場。それだけにFIBAにとっても日本にとっても待望の復帰だったのだ。
「“帰ってきたな”という感じなので、良い感じに慣らせたというのが正直なところです。ここから徐々に挙げていこうと思っています」と、初戦を終えて感想を語った渡嘉敷。そのインド戦では10得点、7リバウンド、1ブロックをマークしたが、「今日の試合で自分の成長や良いところを見せられたかと言えば、それは少ないです。ただ、今日の試合を参考にしながら、出だしから気持ち良く3Pシュートを打つ、走る、しっかりディフェンスをするということはやっていきたいと思っています」ともコメントした。
確かに、得点という点では大きなインパクトは残せなかったかもしれない。それでも、後半の出だしには昨年から本格的に取り組んできた3Pシュートを鮮やかに沈めたことは、トム・ホーバスヘッドコーチの言葉を借りれば「すごく大きい」こと。渡嘉敷も「その前にノーマークの時があったのですが、そこで打てなくて。そうしたらベンチから『打って』というヘッドコーチの声が聞こえました。だから次にボールを持ったら打とう思っていましたし、気持ち良く打たせてもらいました。練習の5対5でも1日1本は必ず3Pシュートを成功させていたので、自信にはなっています」と、3Pシュートのシーンを振り返りつつ、外角シュートへの自信をのぞかせた。
「久しぶりの試合だったので楽しいですね。相手は大きいし、当たりも強い。これからの相手はもっと強くなってくるので、アジャストして負けないように良い準備をしたいです」と、さわやかに語った渡嘉敷。
女子アジアカップは、前回大会からオセアニア地域のチームも加入。世界ランキング3位のオーストラリアらとアジア女王を決めるし烈な大会となった。その中で4連覇の重圧は掛かるものの、日本のエースは4年ぶりの舞台を楽しんでいる。
取材・文=田島早苗