女子日本代表は11月14日にマレーシアで開幕する「FIBA 女子 オリンピック プレ・クオリファイイング・トーナメント2019」へ向け、1日から強化合宿をスタートさせた。同大会は東京オリンピックの出場権を争うプレ予選。すでに出場権を手にしている日本だが、FIBAの大会レギュレーションにより参加が義務付けられており、来年の“本番”を見据えての強化を図る。
今大会の出場メンバーは計12名。約1カ月前に4連覇を達成したアジアカップのメンバーからは6名が入れ替わり、オリンピックまでの時間が刻々と迫る中で選手たちは一層激しい代表争いを繰り広げることだろう。今回メンバー入りを果たした根本葉瑠乃(三菱電機 コアラーズ)も、代表定着へ向け一層アピールが必要な選手の1人だ。
根本は昨年の8月にA代表デビューを飾った24歳のシューティングガード。今年度の代表候補メンバーにも選出されたが、右脛の慢性的な痛みに悩まされ日本代表での試合は「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」から遠ざかっている。ワールドカップ中もそのケガの影響もあり、出場時間は3試合で約10分間しか与えられなかった。
今シーズンは「右の脛を疲労骨折した部分が悪化してしまって、来年のことを考えて手術を決断しました」という根本。代表合宿に参加していながらも別メニューでリハビリの日々が続いた一方で、その間、日本代表は強化試合やアジアカップ4連覇を達成するなど順調にレベルアップを図ってきた。
当時の心境について、根本は正直にこう話す。「4連覇して嬉しい気持ちもありましたけど、悔しい気持ちもあったのであまり見れなかったです。でも、自分もリハビリをがんばろうと刺激にもなりました」。
根本の持ち味は高いアーチから高確率でリングを射抜く3ポイントシュートだ。所属チームでは3ポイント以外でも得点を取ることが求めらているが、日本代表では「ドライブしたら怒られる(笑)」と、3ポイントを決めきることが最重視されている。
今回の代表合宿では、躊躇しまって打つべき場面で3ポイントを打てていないこともしばしばあるという根本。シューターには確率良く決めきる精度も大事だが、今の根本は「とにかく空いたら打つことだけを考えている」。
「右脛はまだちょっと痛みがあって完全ではないですが、このまま結果を残せなければトムさん(ホーバスヘッドコーチ)にアピールもできないし、チームにも貢献できない。今は『ここで結果を出すしかない』という感じです。来年のことを考えると焦りがあるけど、今回経験できることはいいことなので自信をつけたい」
プレトーナメントの出場メンバーには、アジアカップで活躍したシューターの林咲希(JX-ENEOSサンフラワーズ)もいる。現状、オリンピックの選考レースでは遅れをとっている根本。まずは14日からの国際試合でいかに自分を出せるかが、代表生き残りへの第一歩となりそうだ。
文=小沼克年