日本を表彰台に導いた指揮官が総括「スーパースターはいませんが、スーパーチームです」

選手、スタッフと一緒に集合写真に収まるホーバスHC(左)[写真]=Getty Images

 8月8日、東京オリンピックの5人制バスケットボール女子決勝戦が行われ、すでにメダル獲得を確定している日本代表がアメリカ代表と対戦した。

 ついに目標だった金メダルをかけた戦いに挑んだ日本代表。しかし、アメリカの壁は厚く、そして日本対策も十分に練られていた。日本は残念ながら75−90で敗退。

 日本のトム・ホーバスヘッドコーチは就任以来、「東京オリンピックで金メダル獲得」を目標にチーム強化を進めてきた。新型コロナウイルスの影響で開催が1年遅れ、その間に主力選手の引退やケガでの離脱でチーム作りは幾度となく修正が必要となったが、センターに頼らずコートに立つ5人すべてが3ポイントシュートを打つ「スモールボール」を一貫して継続。本番のオリンピックでは6試合で190本の3ポイントを放ち73本を決め(成功率38.4パーセント)、メダル獲得のための大きな原動力となった。

 そのホーバスHCの試合後のコメントが日本バスケットボール協会が掲載している。

 アメリカとの決勝戦について、「決勝は想定していた内容とは少し違った展開になりました。アメリカのディフェンスがすごく、これまで調子の良かったシューター陣が完全に止められてしまい、そこでオフェンスのバランスが崩れてしまいました」と振り返った。

 その中でホーバスHCは試合の中で修正にトライしたという。「いくつかのディフェンスを試しましたが、アメリカのインサイドゲームを止められませんでした。後半はスピードアップして対抗したのですが、3ポイントシュートが入らなかったり、最後までリズムに乗れなかったです」とコメント。それでも「これがバスケットであり、楽しかったです。決勝戦で全員が得点できたのは素晴らしいことです。格別な大会になりました」と、選手のパフォーマンスを評価した。

 厳しいトレーニングで知られるようになった指揮官は、「表彰台に上がった選手たちを見て、とても誇らしく思いましたし、銀メダルを取る快挙を成し遂げたことに感動しました。このチームはこれまで長い時間をかけて強化し、ここまで来るために最善を尽くしました。彼女たちの戦いを見ていて、すごく楽しかったです。お父さんのような気分です」と選手たちを手放しで称賛。

 そして、このような言葉で大会を総括した。

「このメンバーは全員がステップアップしてくれました。また、毎試合違う選手が活躍し、スーパースターはいませんが、スーパーチームです。チームとしてすごかったです。

 銀メダルを取り、ここからが新しい時代の始まりです。ファンも増えるし、サポートも増えると期待しています。今後の女子日本代表は、アメリカを倒すことを新しい基準とし、そのために何をすべきかを考えていかなければいけません。もちろんアメリカだけではなく、世界中の強豪に対しても同じです。日本にはアメリカの(ブリトニー・)グライナー選手(身長203センチ)のような大きな選手はいないのです。その中でも、どうすれば勝てるかを突き詰めていく必要があります。日本人が持つ良さやチームワークで優勝することもできます。そのためにも今後も進化していかなければいけないですし、日々勉強です。そして、これからが始まりです」

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