ゴールデンステート・ウォリアーズのルーキー、ジョーダン・ベル。12月15日(現地時間14日)のダラス・マーベリックス戦を終えた時点で、まだ23試合の経験に過ぎないが、同マブス戦で故障欠場のドレイモンド・グリーンの代わりに先発し、フィールドゴール5投中4本の成功で8得点に加え、6リバウンド8アシスト2スティールするなど、インパクトを与えるプレーが目立っている。
シーズン開幕から2週間後に話を聞いた時は、「ファンになってしまわないよう気をつけている」と話していた。「僕が今プレーしているのは、6月までテレビで見ていたあのチームだ」とベル。しかし、スター選手たちとプレーすることで学べることは多く、同じポジションのグリーンについて、「彼は昨日(現地時間10月29日のデトロイト・ピストンズ戦)の試合で一時、無得点10リバウンドだった。けれども、無得点でもゲームを変え、影響を及ぼしていた」。開幕戦の対ヒューストン・ロケッツ戦では「オフェンスで相手のディフェンスから逆に攻撃されるような思いをしたのは初めて」と振り返るなど、驚きの連続のようだった。
実は、ベルには昔から変わらないモットーがある。それは“Why not?”「(自分に)できないわけがない」の精神だ。子どもの時から問題児で中学を退学となったり、高校で問題児の特別クラスに入れられたりと、ネガティブな目で見られることが多かった中、ベルを支えたのがこの精神だった。
バスケ能力に長けていたベルは、地元の名門USC(サザン・カリフォルニア大)から誘いを受け進学も考えた。だが、母親から人間として成長するためにも、離れた大学にして欲しいと言われた。「実際、自分もそう思っていた」とベル。「あのまま地元に残ったら、自分は変わらないとわかっていた」と話した。
結局オレゴン大に進学したベルは、1人で生活する中で責任感を学んだ。「それまではなんでも母親に任せて、なんでも人のせいにしていた。自分が成長しなければならなかったのに」。だからこそ、今は人の言うことに耳を傾け、素直に受け入れることができている。
12月12日(同11日)のポートランド・トレイルブレイザーズ戦で、こんなことがあった。
ターンオーバーをしたあと、猛ダッシュでデイミアン・リラードのショットをブロック、そこからケビン・デュラントのジャンパーにつなげた。
Jordan Bell with the big chase down block!#NBARooks #DubNation pic.twitter.com/K2zjfOrQD7
— NBA (@NBA) December 12, 2017
その3試合前に、立って見ているだけでチームメートを助けず、スティーブ・カーHCからこっぴどく叱られたという。ブレイザーズ戦でターンオーバーを犯したときは一瞬いじけたそうだが、カーに怒鳴られたことをふと思い出し、急いで走ったのだ。
まだまだ学ぶことは多く、これからも困難に直面し続けるだろう。しかしベルは“Why not?”の精神で、前進を続けるだけだ。
文=山脇明子