ミネソタ・ティンバーウルブズ(以降ウルブズ)で3年目を迎えるタイアス・ジョーンズ。
1年目から控えポイントガードとして存在するが、ジェフ・ティーグの故障に伴い11月27日(現地時間26日)のフェニックス・サンズ戦で、NBAデビューから117試合目にして初めて先発のチャンスを手に入れ、9得点、7アシスト4リバウンドに7スティール2ブロック。コートに立っている時のチームの得失点差はウルブズで最多の+22点をマークした。
この時3試合に先発し1試合平均12.3得点6.7アシスト4.0リバウンド4.0スティールしたジョーンズは、ティーグが再び故障した12月末から7試合に先発。ジミー・バトラーとタージ・ギブソンが「決まるんだからシュートを打てと言っているのに…」と嘆くほど黒子役に徹するなどチームを支えた。
実はジョーンズは、ウルブズのホームアリーナ、ターゲットセンターから約32㎞という近さの町で生まれ育った。もちろん子どもの頃からウルブズファン。多くの選手が夢見る「地元チームでプレーする」という夢を叶えた1人なのである。自らがポイントガードとしてプレーしていくと意識してからはクリス・ポール(現ヒューストン・ロケッツ)やスティーブ・ナッシュ(元サンズほか)を手本としてきた。しかし、ミネソタの象徴的存在だったKGことケビン・ガーネット(元ウルブズほか)は永遠のアイドルだ。それも「子どもの頃から周りがみんなKGファンだったから」という地元ならではの理由である。
ウルズズが最もミネソタを盛り上げたのは2003-04シーズン。ガーネットとサム・キャセール、ラトレル・スプリーウェル(共に元ウルブズほか)の三羽烏でシーズン58勝(24敗)を挙げ、初のウエスタン・カンファレンス決勝に進出した。結局ロサンゼルス・レイカーズに2勝4敗で敗れたが、同決勝は大いに盛り上がったシリーズだった。
当時8歳になったばかりのジョーンズは状況を把握しきれていなかったが、「誰もが物凄くエキサイティングになっていてハッピーだったのを覚えている」という。どこに行ってもウルブズの話で持ち切りとなり、町全体がウルブズに染まっていた。
しかしその時以来ウルブズは昨季まで13年連続プレーオフを逃し、小学校低学年だったジョーンズは成人となり、ウルブズのユニフォームを着てプレーしている。そして、自らが入団した3年前からチームは前進を続けており、大型補強を行った今季は14年ぶりのプレーオフ進出が期待されている。
「ミネソタのファンの気持ちがよくわかる。なぜなら、僕も同じ気持ちだったから」とジョーンズ。「だから、ファンからの期待を個人的に捉えている」と力強く話す。
「あの時のミネソタの興奮をもう一度蘇らせたい」―。ファンの気持ちを背負って、邁進を続ける。
文=山脇明子