粘るキャブスを寄せ付けなかった攻防兼備の王者
6月9日(現地時間8日)、ゴールデンステート・ウォリアーズ(3勝)とクリーブランド・キャバリアーズ(0勝)によるNBAファイナル第4戦が、キャバリアーズのホーム、クイックン・ローンズ・アリーナで行われた。
先手を取ったのはアウェーのウォリアーズ。ジャベール・マギーのミスショットをステフィン・カリーがフォローして先制点を挙げると、ケビン・デュラントのアイソレーションからターンアラウンドジャンパーが決まるなど、残り9分24秒で10-3とし、キャブスがタイムアウト。
JR・スミスの3ポインターのみの得点にとどまっていたキャブスは、タイムアウト明けからレブロン・ジェームズ、ケビン・ラブのショットが決まりだし、11-13まで追い上げて今度はウォリアーズがタイムアウトを要求。
するとウォリアーズは、左コーナーからアンドレ・イグダーラ、キャブスのターンオーバーからカリーがファストブレイクで、さらにはドレイモンド・グリーンと、3本続けて3ポインターをねじ込み、デュラントがダンクをたたき込むと、再びキャブスがタイムアウトをコールして立て直しを図る。
その後点差を詰めようとするキャブスに対し、またもウォリアーズの長距離砲が襲い掛かる。ニック・ヤング、イグダーラが効果的に決めて、34-25とウォリアーズ9点リードで最初の12分間を終える。キャブスはリング下の攻防でオフェンシブ・リバウンドを奪うも決め切れず、得点が伸び悩んだ。
第2クォーター序盤。キャブスはジェフ・グリーンの3ポインター、ラリー・ナンスJr.のティップショットにレブロンの3ポイントプレーなどで追い上げる。さらにカイル・コーバーがクレイ・トンプソンの3つ目のファウルを誘発し、フリースロー3投中2本を決めると、直後のポゼッションでスミスとグリーン、レブロンによるファストブレイクからレブロンがダンクでフィニッシュまで持ち込み、キャブスが逆転に成功する。
ウォリアーズはグリーンのアシストからジョーダン・ベルがリング下で得点し、キャブスがナンスJr.のダンクでお返しすると、カリーからベルへつないでウォリアーズが加点、その後レブロンがお返しとばかりにフローターをヒットさせ、キャブスが僅差の展開へ持ち込む。
そこでイグダーラが巧みなプレーでウォリアーズに好リズムをもたらす。レブロンからオフェンシブ・ファウルを引き出すと、直後のポゼッションでこの日3本目の3ポインターを決める。カリーの3ポインターも続き、リードを奪う。キャブスも負けじとスミスの3ポインター、トリスタン・トンプソンのフックショットなどで追撃していくも、デュラントのフリースローやカリーの3ポインターで61-52とリードを広げ、ウォリアーズ9点リードのままハーフタイムへ。
第3クォーター。前半無得点に終わったトンプソンが最初の3ポインターこそミスするも、フローターで初得点を挙げ、カリーのショートジャンパー、マギーのティップショットで6-0とし、ウォリアーズが15点差へとリードを拡大。
キャブスはすぐさまタイムアウトを取り、レブロンがフリースロー2本、ラブのティップショットが決まるなど、徐々に追い上げるも、点差を1ケタまで縮めることができず。対するウォリアーズはデュラントのプルアップジャンパー、トンプソンが3ポインターやミドルジャンパーを突き刺し、カリーのレイアップも決まるなど着実に加点し、16点をリード。
なんとかして追い上げたいキャブスに対し、ウォリアーズはトンプソンの長距離砲など容赦なく追加点を挙げていくだけでなく、ベルがリング下でオフェンシブ・リバウンドやティップアウトでポゼッションをつなげ、ショーン・リビングストンらが球際で強さを発揮し反撃を許さず、このクォーターを終えて86-65とウォリアーズが21点の大量リードを得る。
迎えた最終クォーター。キャブスはロドニー・フッドのレイアップ、ジョージ・ヒルの3ポインターで点差を縮めようとするも、カリーが立ちふさがる。このクォーター序盤に2本の3ポインターをヒットさせ、キャブスの追撃を遮断。
フッドが3ポイントプレーを決めるも、キャブスはリング下でウォリアーズのディフェンスを攻略できず、なかなか追加点を挙げることができない状況に陥ってしまう。試合はウォリアーズがリードをさらに広げていく展開に。
そして残り4分3秒、77-102の25点ビハインドとなった場面でレブロンがベンチへ。すると会場内では、ジェットコースターのようなシーズンを送ったキャブスをファイナルの地まで押し上げた功労者に対し、大勢のファンが大歓声でMVPコールを送り、大黒柱を称えた。
ゲームは最終スコア108-85でウォリアーズの勝利となり、NBAファイナル史上9度目のスウィープで優勝。チーム史上6度目、そしてチーム史上初の連覇を飾った。
2年連続でファイナルMVPを獲得したデュラント
ファイナルを制したウォリアーズでは、カリーがゲームハイとなる37得点に6リバウンド4アシスト3スティール3ブロック。3ポイントシュートも15投中7本を沈める活躍で勝利に大きく貢献。デュラントもプレーオフキャリア初となるトリプルダブル(20得点12リバウンド10アシスト)に3ブロック、トンプソンが10得点6リバウンド、グリーンが9得点9アシスト3ブロック、イグダーラが11得点2スティール2ブロックと活躍。
また、ウォリアーズはキャブスのフィールドゴール成功率を34.5パーセント、3ポイントシュート成功率を29.6パーセントに抑え込むディフェンスも光り、ゲームを支配した。
キャブスではレブロンが23得点7リバウンド8アシスト、ラブが13得点9リバウンド、スミスが10得点、フッドが10得点8リバウンド2スティールを挙げたものの、4連敗でファイナルを終えた。
チーム史上初の連覇を成し遂げたウォリアーズは、通算6度目の優勝。シカゴ・ブルズと並び、NBA3位の優勝回数となった。通算1位のボストン・セルティックス(17度)、2位のロサンゼルス・レイカーズ(16度)との差は開いているが、ここ4年間で3度の優勝は、間違いなくウォリアーズ王朝が到来したと言っていい。
なお、ファイナルMVPに輝いたのはデュラント。この投票で4票のカリーを上回る7票を獲得し、2年連続で選出。このシリーズで平均28.7得点10.7リバウンド7.5アシストという堂々たる成績を残し、ウォリアーズの連覇に多大な貢献をしてみせた。
「シーズンすべてが旅のようなものさ。毎日起きてからチームメートたちとの仕事をこなす。すばらしいことさ。信じられないくらい、申し分ない環境さ。彼らのようなすばらしい選手たちが周りにいてくれたことで、俺はより優秀なバスケットボールプレーヤー、そしてより良い人間になることができたと思う」とデュラント。
「俺たちが成し遂げたことはすごくハードなこと。4年間に3度も優勝することは信じられないことだ」と試合後の会見でトンプソンが語れば、「この感覚だけではまだ十分じゃない。だから皆で一緒にこの優勝を祝福しようと思ってる」とカリーは喜びをあらわにした。また、グリーンは連覇することに対して「俺たちには何ができるかを理解していた」と口にし、揺るぎない自信を持っていたことを明かした。
昨年10月中旬から幕を開けた2017-18シーズンは、ウォリアーズの2連覇で幕を閉じることとなった。