今夏シクサーズはレブロンやレナードといった大物選手獲得を実現できず
昨季、フィラデルフィア・セブンティシクサーズはイースタン・カンファレンス3位の52勝30敗を挙げ、2012年以来初となるプレーオフ進出を果たした。
ボストン・セルティックスとのカンファレンス・セミファイナルで1勝4敗と敗れ去ったものの、魅力的なヤングコアを擁する“近い将来のタイトルコンテンダー”と評されるほどの戦いぶりだった。
このチームには昨季の新人王ベン・シモンズ、オールスター初選出を果たしたジョエル・エンビード、攻防両面でそつなくこなすダリオ・シャリッチ、昨年のドラフト全体1位指名のスコアリングガード、マーケル・フルツを擁しており、今季もイースト上位進出候補として期待されている。
ただ、今夏は少しばかり期待はずれだったように思える。なぜなら、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)やポール・ジョージ(オクラホマシティ・サンダー)といった大物フリーエージェント(FA)やカワイ・レナード(トロント・ラプターズ)といったオールスター選手を獲得することが期待されていたからだ。
とはいえ、JJ・レディックとアミア・ジョンソンといったベテランと再契約を結び、トレードで両フォワードをこなすウィルソン・チャンドラーを獲得するなど、昨季と同等の戦力を保持することには成功している。
リーグ屈指の万能型センター、エンビードが「MVP獲得」という野望を明かす
そんな中、シクサーズの主砲エンビードが、「NBAアフリカゲーム」を前に、自身の現状について口を開いた。
8月3日(現地時間2日)、南アフリカのヨハネスブルグからカンファレンス・コールをとおして現地メディアからの質問に答えていた。ここでは、『Philly.com』の記事を紹介したい。
まずは今夏の補強戦線について、エンビードはこのように振り返っていた。
「昨シーズン終了後、新たに大物選手を獲得するという話は数多くあった。でも、俺は文字通り、このチームの現状について心配していなかった。なぜなら、俺がより良くなりたいと思ってたからだ」。
昨季のエンビードは、いずれもチームトップとなる平均22.9得点11.0リバウンド1.8ブロックに加え、3.2アシストも記録する万能ぶりを発揮。オールスターに初選出されたばかりか、オールNBAセカンドチーム、オールディフェンシブセカンドチームにも選ばれており、まさにリーグを代表するセンターの1人へと台頭。
シクサーズにはエンビードだけでなく、シモンズやフルツなど主役になることができるほどの能力を持った選手が数多くおり、いずれも若いことを考えると、今夏の補強戦線に失敗したとしても、決して悲観するものではないのかもしれない。
そして、エンビードは自身の野望についてこう語っていた。
「俺はMVPを勝ち取りたいんだ。いつの日か、俺は個人タイトルを獲得することができるかもしれないと思ってる。だが俺は自分のプレーを上達させて、チームもさらに飛躍させたい。だから、もし俺がMVP候補に入るか、MVPを獲得できれば、このチームを一段と高いレベルへと押し上げることができると思っている」。
213センチ113キロという屈強なサイズを駆使して、エンビードは多彩なポストプレーから力強いフィニッシュを決めることができるだけでなく、ドライブやジャンパー、3ポイントシュートまで難なく決め切ることができる。
さらに、リバウンドやブロックといったディフェンス面でも絶大な影響力をゲームにもたらしている。それは昨季の最優秀ディフェンシブプレーヤー賞の最終候補に入ったことからも明らかだ。
もし今夏、レブロンやジョージ、レナードといった超一流選手を獲得できていれば、シクサーズは文句なしで優勝候補筆頭になっていたことだろう。
しかし、そうなるとエンビードがMVPに選出される可能性は低くなっていたに違いない。主要成績に関しても、ダウンすることが大いに予想できるからだ。
そのため、シクサーズが現有戦力でイースト上位、さらにはリーグトップクラスの成績を残すことができれば、その中心にいるエンビードがMVPの有力候補に加わる可能性は十分ある。
はたして、魅力的なヤングコアを擁するシクサーズが今季どこまで躍進を遂げるのか。イーストの行方を予想するうえでも、大きなポイントと言っていいだろう。