まもなく初来日するドレイモンド・グリーンのNBAキャリアをプレーバック! Part.2

ウォリアーズのムードメーカーとしても活躍するグリーン[写真]=Getty Images

 現在2連覇中の王者、ゴールデンステート・ウォリアーズが誇る万能戦士ドレイモンド・グリーンが、9月8日に初来日を果たす。

 ここでは、キャリア6年で3度の優勝経験を誇るグリーンのプロフィールとここまでのNBAキャリアにおける功績の数々を2回に分けて紹介していこう。

■グリーンが誇る唯一無二の記録
1,000得点500リバウンド500 アシスト100 スティール100 ブロック:1回(15-16)
得点以外の3項目でトリプルダブル:1回(11リバウンド10アシスト10スティール/2017年)

■アメリカ代表における功績
オリンピック金メダル:1回(2016年リオデジャネイロ・オリンピック)

記録的なシーズンも、自身の出場停止でファイナルの流れを変えてしまう

 ディフェンディング・チャンピオンとして迎えた15-16シーズン、ウォリアーズは絶好調カリーを中心に開幕から爆走。リーグ新記録となる開幕24連勝を達成し、前シーズンから続くシーズンの連勝記録を28へと伸ばし、歴代2位にランクイン。その後も連敗することなく連勝を続けたウォリアーズは、95-96シーズンにシカゴ・ブルズが樹立したシーズン72勝(10敗)を塗り替え、73勝(9敗)の金字塔に到達。

 ステフィン・カリーが2年連続でシーズンMVPに輝き、クレイ・トンプソンは2シーズン連続で平均20得点以上をクリアする中、グリーンも稀代の万能戦士として飛躍。平均14.0得点9.5リバウンド7.4アシスト1.5スティール1.4ブロックと見事な成績でリーグ最多勝記録樹立に大きく貢献。リーグ史上初となるシーズン通算1,000得点500リバウンド500アシスト100スティール100ブロックを達成し、歴史にその名を刻んだ。

PFながら、グリーンはキャリアハイとなる平均7.4アシストをマークし、リーグ7位にランクイン[写真]=Getty Images

 チーム史上初の連覇をかけて臨んだプレーオフ。ウエスト決勝まではわずか2敗で勝ち上がり、シーズン成績そのままに相手チームを圧倒していくも、ウエスト決勝で対決したオクラホマシティ・サンダーとのシリーズで大苦戦。ケビン・デュラント(現ウォリアーズ)とラッセル・ウェストブルックという2大巨頭に活躍を許し、第4戦を終えて1勝3敗の崖っぷちに追い込まれてしまう。しかし、シーズン最多勝を挙げたウォリアーズは、カリーとトンプソンの爆発もあり、3連勝でサンダーをねじ伏せて2年連続の頂上決戦へと駒を進めた。

 2年連続の顔合わせとなったクリーブランド・キャバリアーズとのファイナル。この年は第4戦を終えてウォリアーズが3勝1敗と、一気に王手をかけた。グリーンは第2戦で3ポイントシュートが8投中5本成功と大当たりで、ゲームハイの28得点を奪取。アウェーで行われた第4戦でカリーが7本の長距離砲を含む38得点の大暴れを見せ、シリーズの行方は決したかに見えた。

ファイナル第2戦で大当たりを見せたグリーンの3ポインター[写真]=Getty Images

 ところが、この試合でグリーンがフレグラントファウルを犯してしまう。これにより、プレーオフ期間中における累積フレグラントファウル(4個)のリーグ規定により、第5戦が出場停止に。

 ウォリアーズのホームで行われた第5戦。前半こそ同点に持ち込むも、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)とカイリー・アービング(現ボストン・セルティックス)にそれぞれ41得点の大爆発を喫して敗北。続く第6戦でもレブロンが41得点を奪う猛攻もあり、シリーズは運命の第7戦へ。

 両チームにプレッシャーが重くのしかかる中、前半最も輝いたのがグリーンだった。最初の24分間でグリーンは両チーム最多となる22得点をマークし、ウォリアーズに7点のリードをもたらす。しかし、レブロンとカイリーを中心にキャブスが反撃し、ゲームは手に汗握る接戦で終盤を迎える。この試合、キャブスはレブロンやカイリーのスーパープレーが飛び出したものの、ウォリアーズはカリーやトンプソンが決定打となるショットを最後まで決め切ることができず、最終戦の末に惜敗。シーズン73勝という夢のようなシーズンは、悔しい結末となってしまった。

第7戦終盤まで奮闘したものの、最後はカイリーとレブロンにとどめを刺されて万事休す[写真]=Getty Images

 グリーンは後に、現地メディア『ESPN』へ16年のファイナルについてこう振り返っている。

 「俺には揺るぎない確信があった。もし俺が第5戦でプレーできていれば、俺たちが勝っていただろう。だが俺はプレーすることができなかった。あの時の状況に身を置くことができなかったんだ」。

 第6、7戦でグリーンはプレーしたものの、グリーンが欠場した第5戦が、このシリーズの流れを大きく変える分岐点となったことは間違いない。

勝利するために必要とされるプレーを着実に遂行し2連覇達成

 16-17シーズンを迎えるにあたり、ウォリアーズはデュラントというリーグ最高級のスナイパーを獲得。カリー、トンプソン、デュラントという、リーグでも10本の指に入るほど優れたシュート力を誇るスコアラーを3人そろえ、覇権奪回に挑んだ。

 開幕前はスター選手たちによるエゴの衝突が不安視されたものの、いざ蓋を開けてみるとそんな不安もどこ吹く風。開幕18試合を16勝2敗と圧倒的な強さで駆け抜けてリーグに衝撃を与えた。17年2月下旬にデュラントが戦線離脱し、7試合で2勝5敗と黒星先行になる時期こそあったものの、カリーとトンプソン、そしてグリーンを軸にディフェンスを強化し、3月中旬から14連勝で一気に巻き返す。

 グリーンは前シーズンからフィールドゴール試投数がダウンし、平均得点も10.2に終わるも、チームに勝利をもたらすべく、オールラウンドな働きでチームメートを援護。17年2月11日(同10日)のグリズリーズ戦では4得点に終わったものの、11リバウンド10アシスト10スティールと、得点以外の3項目で2ケタを挙げるという史上初の“変則トリプルダブル”を達成。さらには5ブロックもお見舞いし、自身が持つ類まれな万能性を、この1戦だけで最大限に発揮した。

リバウンド、アシスト、スティールの3部門で2ケタを記録したグリーン[写真]=Getty Images

 リーグトップの67勝(15敗)を挙げたウォリアーズは、プレーオフに入ってからも絶好調。1回戦から順にポートランド・トレイルブレイザーズ、ユタ・ジャズ、サンアントニオ・スパーズを4戦無敗のスウィープで下し、キャブスへのリベンジを懸けてファイナルへ進出。

 この年のファイナルは、デュラントを加えて別次元のチームと化したウォリアーズがキャブスを圧倒し、4勝1敗で王座に返り咲いた。そしてプレーオフをとおしてウォリアーズは、16勝1敗という史上最高勝率(94.1パーセント)で走り抜けたのである。

すべてのポジションをガードできるディフェンス力は、グリーンにおける最大の武器と言ってもいい[写真]=Getty Images

 再び連覇をかけて挑んだ昨季、ウォリアーズはカリー、トンプソン、デュラント、そしてグリーンがケガのためそれぞれ9試合以上を欠場。アンドレ・イグダーラやショーン・リビングストンも11試合以上を欠場する中、なんとか58勝(24敗)を挙げてウエスタン・カンファレンス2位の座を手に入れた。

 プレーオフ序盤はカリーを欠いたものの、グリーンがトリプルダブルを記録するなど順調に勝ち星を積み重ねていく。ロケッツとのウエスト決勝では2勝3敗と先に王手をかけられたものの、「俺たちはここから2連勝してみせる」とグリーンがチームを鼓舞。クリス・ポールの離脱があったとはいえ、最後の2戦は前半終了時点でウォリアーズはロケッツに2ケタリードを許す中、後半に見事逆転して2連勝。4勝3敗でロケッツとのシリーズを制し、キャブスとの4年連続ファイナルへ。

 18年のファイナルは、デュラントとカリーが合わせて平均56.3得点を挙げるなどキャブスを寄せ付けず、フランチャイズ史上初となる2連覇を成し遂げた。このシリーズ、グリーンは平均9.3得点に終わるも、チームトップの平均41.4分コートに立ち続け、6.0リバウンド8.5アシスト2.0スティール1.5ブロックを挙げてシリーズスウィープに大きく貢献。自身3度目の優勝を手にした。

 2連覇を達成したグリーンは、昨季についてこう口にしていた。

 「(過去3シーズンよりも)本当に苦しいものだった。プレーオフだけじゃなく、シーズン全体を通してね。俺たちはチャンピオンとして、82試合というレギュラーシーズンの1試合目から優勝した時のレベルを期待されてしまうから、タフだったよ。それに昨季はステフにケビン、クレイ、俺自身もそうだけど、多くの試合を欠場していた。その分を取り戻すべく、(優勝という)この場所に戻ってきたんだから、きわめてタフだったんだ」。

“稀代の万能戦士”グリーンの来日イベントをチェック!

 グリーンはこれまでのキャリア6年で、3度の優勝を手にしてきた。カリーにトンプソン、デュラントといったリーグ屈指のシュート力を持つ実力者がいることで、得点面ではあまり目立たないものの、自らドライブしてフィニッシュまで持ち込むことができるし、3ポイントシュートも決め切ることができる。また、積極果敢にボールプッシュし、トップ・オブ・ザ・キー付近でスコアラーたちへボールを配給して多くの得点機会を生み出している。

 ディフェンス面では、分厚い胸板で相手選手を受け止め、当たり負けしない屈強な身体で相手ビッグマンを抑え込むだけでなく、絶妙なタイミングでヘルプディフェンスを遂行し、コート上のいたるところでその存在感を存分に発揮。時折、あふれんばかりの情熱が空回りしてフレグラントファウルやテクニカルファウルを連発してしまうものの、それらすべてがグリーンという男なのだろう。

ウォリアーズに欠かせない戦力となり、キャリア6年で3度の優勝を勝ち取ったグリーン[写真]=Getty Images

 全身からほとばしる情熱を武器に、時にはモチベーターとしてチームメートたちを鼓舞し、グリーンはウォリアーズの“ハート&ソウル”としてリーグ史上最高級のチームに君臨している。

 そんなグリーンの多方面に渡るパフォーマンスを、1つの指標で表現することは並大抵ではない。だが最も端的に表しているデータがあるとすれば、やはりトリプルダブルだろう。レギュラーシーズンで通算22回、プレーオフでは通算4回のトリプルダブルを記録しているのだが、ウォリアーズはそのすべての試合に勝利を収めているのである。

 オールスターの常連となり、リーグ屈指のディフェンダーという評価が定着したグリーンは、あらゆる面で所属チームを勝利へと導くことができる“稀代の万能戦士”と言っていいだろう。

 今週末に初来日するグリーンは。9月8日(土)に『Rakuten TV presents NBA Fan Meeting 2018 with Draymond Green』と題したイベントで、iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ(東京都世田谷区)に登場。翌9日(日)には『B.LEAGUE EARLY CUP 2018 KANTO』の最終日に、ブレックスアリーナ宇都宮(栃木県宇都宮市)へ優勝トロフィーを持って来場予定となっている。

 コート上で見せる激しいプレーとは裏腹に、軽妙なトークと屈託のない笑顔でファンを楽しませるグリーン。きっとここ日本でも、ファンを楽しませてくれるに違いない。

表情豊かなグリーンは、トークでも冴えを見せる。日本でもファンを楽しませてくれることだろう[写真]=Getty Images

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