アリーナの深部に潜入するバックヤードツアーとハッスル戦をコートサイドで観戦
「渡邊雄太公式応援ツアー」は2日目の迎え、この日はメンフィス・グリズリーズのホームアリーナ、FedExフォーラムのバックヤードツアーと、そして夜にはこのツアーの目玉の1つ、渡邊選手が2wayで契約するチームの1つ、Gリーグのメンフィス・ハッスルの試合観戦を行った。
アリーナのバックヤードツアーはNBAをはじめとするアメリカの4大スポーツのほか、テニスのウィンブルドンでも行われているもので、試合や大会のない時に、一般の観客が入れないアリーナ施設を見学するもの。それだけに高い人気を誇っている。
渡邊雄太選手のバナーがはためくFedExフォーラムの正面から入場した一行はチームスタッフとあいさつを交わし、いよいよアリーナの奥へと進んでいった。マルク・ガソルやマイク・コンリーなどの主力選手の写真が飾ってある廊下を進んでいくと、試合や練習にやってきた選手がくつろぐラウンジ、治療やリハビリが行われるトリートメントスペース、試合の前に次回対戦チームへの戦術が説明されるミーティングルーム、さらには選手のサイズに合わせてあるため各、器具が一般のジムよりも大きなトレーニング場など、その豪華な最新設備を見るにつれ興奮が高まっていく。
残念ながら、この日はメインアリーナをメンフィス大学が練習で使っていたため、選手のロッカーへ入ることはできなかったが、練習コートでは実際にボールを使ってシュートを打つこともでき、VIPが試合を観戦するラウンジにも入室が許され、興奮のうちに1時間にも及ぶバックヤードツアーは終了。最後はオフィシャルショップでお気に入りのグッズを買い込んだ一行は次の目的地、ハッスルの試合が行われるレンジャーズセンターにバスで移動した。
GリーグのアリーナはFedExフォーラムに比べれば小さく、働いているスタッフもボランティアが中心。それだけに温かみのあるコミュニケーションが親近感を誘ってくれる。観客席に着いた時にはすでに試合前の練習がスタートしていた。もちろん一行の視線の先には前日に交流会に参加してくれた渡邊選手であることは間違いない。チームの粋な計らいによりコート最前列での観戦となり、ティップオフの時を待つこととなった。
試合開始早々、渡邊選手の3ポイントや速攻からのボースハンドダンクに大いに盛り上がる。残念ながら第2Q途中で相手選手と接触してロッカーに下がり、その後、渡邊選手は脳震盪の疑いありとプレーは行わなかったが、ハッスルが118-98で快勝。最後まで試合を楽しむことができたことだろう。最後はセンターサークルのチームロゴが配されている場所で記念撮影を行い、一行はホテルへの帰路についた。
貯めたお金をはたいてツアーに参加
最後にこの日の感想を1人でツアーに参加した早稲田大学の渡邊大輝さんに話してもらおう。
「本場のアメリカでNBAを見たことがなく、雄太選手とも交流できるまたのないチャンスだったので、貯めていたお金を全部はたいてやってきました。交流会では雄太選手の人柄に触れることもでき、今日は生のプレーを目の前で見られて。もう興奮しっぱなしでした(笑)。
残念ながら渡邊選手が後半の出場がかないませんでしたが、それでも第1Qだけで速攻からのダンク、3ポイントシュート、レイアップ、そしてフリースローと得点パターンをすべて見せてくれたので満足度は高いです。個人的には3ポイントが不調と言われていたので、一発目に決めてくれて良かったと思いました。僕ら応援ツアーが駆けつけたことで変なプレッシャーや緊張がなければと心配していたのですが、そんなことは全くなく、改めてすごいなと。
僕は大学のゼミで建築環境心理学を学びました。そこでアリーナの研究を積んできたのですが、日本と海外との違いをまじまじと見せつけられた感じです。それでもバックヤードツアーでは練習コートでシュートも打たせてもらって、少しだけプロになった気分を味わうことができました。
いよいよ明日はグリズリーズの試合観戦です。今度は観客が入ったアリーナを楽しみにしたいと思います」
取材・文=入江美紀雄